こんにちは、キベリンブログです。
給付制限がなくなる「特定理由離職者」に、新たな理由が追加されました。
今回は、「DV被害による退職で、失業保険の給付制限がなくなる」件について紹介します。
【本記事の内容】
① DV被害による退職で、失業保険の給付制限がなくなる【2023年4月1日から】
② 特定理由離職者(正当な理由のある自己都合退職)になる離職理由とは【給付制限なし】
③ まとめ:失業保険のしくみは複雑。制度を知ると、損することなく活用できる
失業保険は3回受給してきました。
DV被害を受けたことによる退職での特例を、わかりやすく紹介していきますね。
① DV被害による退職で、失業保険の給付制限がなくなる【2023年4月1日から】
会社を辞めると、失業保険がもらえますよね。
自己都合で退職すると、通常は2ヶ月間の給付制限期間があるため、すぐには支給されません。
ですが、「特定理由離職者(正当な理由のある自己都合退職)」に該当すると、給付制限がなくなります。
この特定理由離職者に当てはまる理由に、DV被害が追加されました。
2023年4月から、DV被害での転居による退職で特定理由離職者に
「DV被害(配偶者からの暴力 or 有害な影響を及ぼす言動)」を受けた場合、加害配偶者との同居を避けるには、引越しが必要です。
引越しとなると通勤にも影響するし、会社を辞めなければならないこともありますよね。
DVを避けるための転居で会社を退職した場合、特定理由離職者として認定されるようになっています。
(雇用保険法 第33条の改正によるもの)
特定理由離職者(正当な理由のある自己都合退職)になるメリット
・2ヶ月の給付制限がない(通常は給付制限あり)
・雇用保険の加入期間が6ヶ月以上で受給できる(通常は1年以上)
繰り返しですが、通常の自己都合退職だと「2ヶ月の給付制限期間」があり、2か月経過しないと失業保険はもらえません。
ですが「特定理由離職者」になると、給付制限がなくなります。
つまり、特定理由離職者は2ヶ月も待つことなく、すぐに失業手当の支給が始まるんですよね。
引越しなどでお金もかかるし、早めにもらえると助かるはずです。
加えて雇用保険の加入期間も、「6ヶ月以上」と通常より短くて済みます。
こういったメリットを知っておくと、制度をうまく活用できますよ。
DV被害による退職が認められるための、必要な書類
・「保護命令に係る書類の写し(裁判所が発行)」or「配偶者からの暴力の被害者の保護に関する証明書(婦人相談所などが発行)」
・転居したことがわかる書類(マイナンバーカード、免許証、住民票など)
ハローワークにDV被害による退職を認めてもらうための必要書類は、上記の2つです。
婦人相談所などが発行する証明書は、雇用保険向け(失業保険)にフォーマットが用意されています。(上記リンク参照)
もし必要書類の取得が難しいときは、「転居先の住所を管轄するハローワーク」に相談してみてください。
※管轄のハローワークの調べ方は、「【失業保険】管轄のハローワークとは?調べ方と管轄外でも可能なこと」をご覧ください。
② 特定理由離職者(正当な理由のある自己都合退職)になる離職理由とは【給付制限なし】
前のパートで、2023年4月から「DV被害での転居による退職」で特定理由離職者に認められることを紹介しました。
給付制限がなくなるため、すぐに失業保険がもらえるのは大きなメリットになるはずです。
追加されたDV被害以外にも、認められる理由があります。
そこで、特定理由離職者(正当な理由のある自己都合退職)に該当する離職理由を、まとめて紹介しておきますね。
【特定理由離職者(正当な理由のある自己都合)に当てはまる理由】
❶ 病気やケガ、体力の不足、障害により退職
❷ 引越しで通勤困難になり退職(結婚や育児など)
❸ 妊娠・出産・育児で退職し、受給期間延長の措置を受けた
❹ 父母の死亡や介護など、家庭の事情の急変により退職
❺ 配偶者 or 扶養家族との別居生活の継続が困難になり退職
❻ 会社の人員整理などによる希望退職に応じて退職
❼ 【2023年4月以降】DV被害で加害配偶者との同居を避けるため、転居したことにより退職
❶ 病気やケガ、体力の不足、障害により退職
身体的な条件で、仕事を続けることが困難になった場合ですね。
会社から配置転換を命じられても、業務の対応が難しい場合も含みます。
❷ 引越しで通勤困難になり退職(結婚や育児など)
以下の理由で通勤が難しくなり、退職した場合が該当します。
【対象となる理由】
・結婚による引越し
・育児による引越し(※保育所がなく、依頼できる親族がいないため)
・天災や住居の強制立ち退きによる引越し
・事業所が通勤困難な場所に移転した
・交通機関(電車、バスなど)の廃止 or 運行時間の変更で、通勤困難になった
・転勤を命じられ、家族との別居を余儀なくされた
・配偶者の転勤 or 再就職に伴う引越しで、同居するために通勤困難になった
通勤困難と判断してもらえる目安は、「往復の通勤時間が4時間以上」の場合です。
客観的にも認められることが必要なので、注意しておきましょう。
❸ 妊娠・出産・育児で退職し、受給期間延長の措置を受けた
失業保険の受給期間は、「退職してから1年間」です。
でも「妊娠・出産・育児など」で働けない場合、失業保険の受給期間を延長できます。(最長4年)
この受給期間延長の措置を受けた後に失業保険を受給する場合に、特定理由離職者に該当します。
延長措置を受けていない場合は該当しないので、注意してくださいね。
※受給期間延長の詳しい内容は、「失業保険の受給期間を延長する方法とは?【条件を解説】」をご覧ください。
❹ 父母の死亡や介護など、家庭の事情の急変により退職
親が亡くなったり、病気などで親族の介護や看護が常時必要となる場合が、「家庭の事情の急変」に該当します。
具体的には、退職を申し出たときに「30日を超える看護」が必要と見込まれる場合です。
それ以外では、自宅が火事や水害で勤務を継続できない場合なども、家庭の事情の急変として認められますね。
❺ 配偶者 or 扶養家族との別居生活の継続が困難になり退職
単身赴任などをしていたときの状況ですね。
家族との別居が、家庭生活からも経済的事情からも困難になり、同居するための引越しで通勤できず退職した場合が該当します。
❻ 会社の人員整理などによる希望退職に応じて退職
「早期退職優遇制度」など、あなたから希望退職に応じて退職した場合が該当します。
なお、会社から退職を奨励されたり、解雇を通告された場合はもう一方の「特定受給資格者(会社都合退職)」になるので、注意してくださいね。
❼ 【2023年4月以降】DV被害で加害配偶者との同居を避けるため、転居したことにより退職
前のパートで紹介したとおり、2023年4月1日以降に追加された理由です。
繰り返しですが、2023年3月31日以前の退職だと認められないので、気をつけておきましょう。
※必要書類など詳しい内容は、「【給付制限なし】特定理由離職者になるには?【病気・結婚・介護】」で解説しています。
③ まとめ:失業保険のしくみは複雑。制度を知ると、損することなく活用できる
本記事では、「DV被害による退職で、失業保険の給付制限がなくなる」件を紹介しました。
ポイントをまとめます。
【DV被害による退職で、失業保険で認められる特例】
・「DV被害での転居による退職」で、特定理由離職者として認められる
【特定理由離職者(正当な理由のある自己都合退職)になるメリット】
・2ヶ月の給付制限がない(通常は給付制限あり)
・雇用保険の加入期間が6ヶ月以上で受給できる(通常は1年以上)
【特定理由離職者(正当な理由のある自己都合)に当てはまる理由】
❶ 病気やケガ、体力の不足、障害により退職
❷ 引越しで通勤困難になり退職(結婚や育児など)
❸ 妊娠・出産・育児で退職し、受給期間延長の措置を受けた
❹ 父母の死亡や介護など、家庭の事情の急変により退職
❺ 配偶者 or 扶養家族との別居生活の継続が困難になり退職
❻ 会社の人員整理などによる希望退職に応じて退職
❼ 【2023年4月以降】DV被害で加害配偶者との同居を避けるため、転居したことにより退職
2023年4月から、DV被害での転居による退職で、特定理由離職者として認められています。
特定理由離職者になると、2ヶ月の給付制限がなくなります。
失業手当がすぐに支給されるのは、厳しい状況の中にいたら、大きなメリットになりますよね。
失業保険は、実は意外と複雑なしくみになっています。
制度を知っておくと、損することなく活用できます。
知識として押さえて、しっかり利用してくださいね。
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