でも、住民票をそのまま残すメリットって何があるかな?
こんにちは、キベリンブログです。
海外移住で住民票をどうするかは、影響するポイントを押さえる必要があります。
今回は、「海外移住で住民票を残す、5つのメリット・デメリット」について紹介します。
【本記事の内容】
海外転職にともなう海外移住や、海外でのデジタルノマド生活を経験してきました。
海外転出して住民票を抜いた経験から、どう判断するか分かりやすく解説していきます。
① 海外移住での住民票のルールとは【1年以上or未満】
「海外に行くなら税金がかからなくなるから住民票を抜いた方がいい」というのは、聞いたことがあると思います。
"住民票を抜く = 転出届(海外への住所変更)を役所に提出する" ということです。
でも逆に、「住民票をそのままにするメリット」については、あまり語られないですよね。
海外移住するときに住民票を抜くかどうかは、あなたの状況に合わせたメリット・デメリットを知った上で判断することが大切です。
ただし、海外への転出届の提出には、実は「原則としてのルール」が存在します。
メリット・デメリットの話に入る前に、まずはルールを確認しておきましょう。
海外への転出届のルール【原則】
・海外での滞在期間が1年以上の予定の場合に、海外転出届の提出が必要
海外転出届の提出が必要になるのは、「1年以上の予定で海外移住する場合」です。
日本を出国する日の2週間前から当日までの間に、あなたが住んでいる役所に提出して手続きします。
1年未満の予定であれば、海外転出届を出す必要はありません。
あなたが住んでいる市区町村のサイトにも書かれていたりするので、チェックしてみてください。
あくまで "予定" での判断なのでグレーになっており、結局のところ出すかどうかは「本人次第」になっているのが実情です。
ただし原則として「1年以上の予定」という決まりがあるので、そのルールは知っておきましょう。
海外転出届について、罰則はあるのか
届け出の期間内に提出しなかった場合や、虚偽の提出をした場合は、「5万円以下の過料(住民基本台帳法第52条)」の対象になる場合があります。
ただ実際のところ、罰金が科されることはほとんどありません。
「海外転出届を出したけど、予定が変わって1年未満で帰ってきてしまった」「1年未満の予定だったから海外転出届を出さなかったけど、海外滞在が1年を超えてしまった」といったことはあり得るし、やむを得ない事情もあるからです。
ただし、住民税逃れなどで「海外転出届 ⇔ 転入届」の提出を繰り返したりすると、不正を指摘される可能性もあり得ます。
住民票を残しているのに郵便物が届かないなど何らかの問題が起きた場合は、居住実態を調べられることも。
基本的には罰則なしと考えてOKですが、明らかな不正はチェックが入るので、注意しておきましょう。
海外移住を終えた後の転入届にも、ルールがある
補足になりますが、住民票を抜いて海外移住後、帰国して再び日本に住む場合は「転入届」を提出することになります。
ただし、転入届にもルールがあり、"1年以上の予定で日本に住む場合" という決まりがあります。
そのため一時帰国で病院を利用する目的や、すぐにまた海外へ行く場合など、「転入届 ⇔ 転出届」の提出を繰り返すことは原則としてできません。
繰り返しですが、明らかに不正が疑われるような場合は調べられるので、気をつけてくださいね。
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② 海外移住時に住民票を残すメリット【5つ】
前のパートで、海外へ行く場合の住民票のルールを紹介しました。
原則として、「海外での滞在が1年以上の予定の場合に、海外転出届を出す(住民票を抜く)」というのが、一応の決まりです。
ただし繰り返しですが、あくまで予定での判断なので、運用としては結局のところ "本人次第" の判断になっています。
それを踏まえた上で、海外転出届を出さず住民票を残しておくメリットから見ていきましょう。
【海外移住で住民票をそのまま残しておくメリット】
メリット❶ : 銀行口座の維持、新規口座の開設ができる
メリット❷ : クレジットカードの維持、新規作成ができる
メリット❸ : 証券口座の資産(株・投資信託)を売る必要がなく、NISAやiDeCoでの投資も継続できる
メリット❹ : e-Taxにより、帰国せずオンラインで海外から確定申告できる
メリット❺ :一時帰国時、3割負担で病院を利用できる
住民票を残すメリットとしては、5つですね。
順番に解説していきます。
メリット❶ : 銀行口座の維持、新規口座の開設ができる
住民票を抜いた場合は「非居住者」という扱いになり、多くの銀行では口座を解約することがルールになっています。
なぜなら、日本の銀行は前提として "国内に住む人を対象にしたサービス" という理由があるからですね。
口座の維持や新規口座の開設は、住民票を抜くと難しくなるケースがほとんどです。
例えば、楽天銀行 や 住信SBIネット銀行 などのネット銀行でも、非居住者は解約するよう規約で決められています。(実態としては使い続けている人が多い)
逆に住民票を残しておけば、規約違反を気にすることなく、今までの口座をそのまま維持できます。
新たな口座の開設も可能なので、日本の銀行を引き続き利用できるのはメリットですね。
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メリット❷ : クレジットカードの維持、新規作成ができる
住民票を抜いた場合でも、クレジットカード会社は特に解約を規約で決めているようなことはありません。
でも、先ほどのメリット❶で説明したとおり、「住民票を抜いた非居住者は、銀行口座の解約が必要」という規約があります。
日本のクレジットカードを使うには、海外移住後も利用できる国内の銀行口座が必要です。
つまり、銀行口座を維持できなければ、クレジットカードも維持できません。
住民票を残しておけば銀行口座も問題なく維持できるため、クレジットカードも使い続けることができます。
カードの新規作成も可能なので、別の新たなカードが必要になったときも作れます。
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メリット❸ : 証券口座の資産(株・投資信託)を売る必要がなく、NISAやiDeCoでの投資も継続できる
証券口座は、「住民票を抜いて非居住者になると、取引は制限される」というのが基本的な扱いです。
細かい規約は証券会社で違いますが、非居住者になる場合は保有している株や投資信託などの資産は売却しなければならないことも。
日本の証券会社で利益を上げていたら、口座の閉鎖は厳しいですよね。
少なくとも、株取引には制限がかかります。
住民票を残しておけば、それまでの株や投資信託などの資産を売る必要もありません。
NISA や iDeCo など税制の優遇制度を使った投資も、海外から継続できるので、投資を続けたい人にとっては大きなメリットですね。
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メリット❹ : e-Taxにより、帰国せずオンラインで海外から確定申告できる
住民票を抜く・抜かないにかかわらず、日本で所得がある場合は、"確定申告" が必要です。
例えば、不動産収入がある場合や、ノマドワークで日本円を稼ぐ場合などですね。
e-Taxを使うとオンラインで可能なので、海外から確定申告できます。
毎年2月~3月の時期に、わざわざ一時帰国しなくて済みます。
ただし、住民票を抜いた「非居住者」は、e-Taxによる確定申告ができません。
e-Taxが使えるのは住民票を残している場合だけなので、その点はメリットです。
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メリット❺ :一時帰国時、3割負担で病院を利用できる
住民票を抜いた場合は、国民健康保険に加入できなくなります。
未加入で日本の病院で診察を受けると、医療費は "10割負担" のため、かなりの高額に。
一方で住民票を残しておくと、国民健康保険への加入義務があります。
健康保険料はかかりますが、「3割負担」で病院の受診が可能です。
海外での医療費は高いことが多いし、何より言葉や医療設備などの環境面でも不安は大きくなります。
安心して日本の病院が使える状態にしておくと、余計なストレスを抱えずに済みます。
③ 海外移住時に住民票を残すデメリット【5つ】
ここまで、住民票を残す5つのメリットを紹介してきました。
メリットがある一方で、もちろんデメリットもあります。
続いてデメリットの内容を見ていきましょう。
【海外移住で住民票をそのまま残した場合のデメリット】
デメリット❶ : 住民票を置ける住所の確保が必要
デメリット❷ : 役所などから届く郵便物の受け取りが必要
デメリット❸ : 国民健康保険料を払う必要がある
デメリット❹ : 国民年金の保険料を払う必要がある
デメリット❺ : 前年に所得がある場合、住民税が課税される
住民票を残すデメリットとして、5つ挙げました。
こちらも順番に説明していきます。
デメリット❶ : 住民票を置ける住所の確保が必要
海外移住しても住民票を残す場合は、日本での「住民票の置き場所」が必要です。
住民票に登録する住所は、基本的には "住める場所であること" というのがルールです。
実家に住民票が置ければ問題ありませんが、難しい場合もありますよね。
住民票置き場として部屋を借りるなど、住所を確保する対応をしなければなりません。
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デメリット❷ : 役所などから届く郵便物の受け取りが必要
住民票を残しておくと、その住所宛て市区町村の役所から少なからず郵便物が届きます。
役所は未だに紙ベースでの通知や案内が多いので、どうしても民間と比べて郵便物が増えるんですよね。
役所からの郵便物が受け取れない状態が続くと、居住実態を疑われるので、余計なトラブルが発生する確率が高くなります。
実家にいる家族に頼めればいいのですが、それができない場合は郵便物を管理するための対応が必要です。
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デメリット❸ : 国民健康保険料を払う必要がある
住民票を残した場合、国民健康保険への加入義務が発生します。
つまり、毎年の「国民健康保険料」を払わなければなりません。
国民健康保険は、たとえ日本で収入や所得がなくても、健康保険料はかかります。
保険料は収入がある場合よりも安くはなりますが、支払い対応も準備しておく必要があります。
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デメリット❹ : 国民年金の保険料を払う必要がある
海外転出届を出して住民票を抜いた場合は、国民年金の加入は "任意" になります。
入りたくなければ、保険料を払わなくて済むんですよね。
でも住民票を残したままにすると、国民年金の加入は「義務」に。
つまり、年金保険料を払わなければならず、年間で約20万円ほどの負担が必要です。
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デメリット❺ : 前年に所得がある場合、住民税が課税される
住民税は、毎年1月1日時点で住民票(住民登録)のある市区町村に支払うしくみです。
支払う住民税の額は「前年の所得」から計算され、税率は約10%です。
住民票を残しておくと、当然ながら住民税が課税されることになります。
ただし国民健康保険や国民年金と違って、前年に所得がなければ住民税はかからないので、その場合は気にする必要はありません。
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④ まとめ:海外移住では住民票を残すメリット・デメリットを知った上で、状況に合った判断が必要
本記事では、「海外移住で住民票を残す、5つのメリット・デメリット」を紹介しました。
ポイントをまとめます。
【海外移住で住民票をそのまま残しておくメリット】
メリット❶ : 銀行口座の維持、新規口座の開設ができる
メリット❷ : クレジットカードの維持、新規作成ができる
メリット❸ : 証券口座の資産(株・投資信託)を売る必要がなく、NISAやiDeCoでの投資も継続できる
メリット❹ : e-Taxにより、帰国せずオンラインで海外から確定申告できる
メリット❺ :一時帰国時、3割負担で病院を利用できる
【海外移住で住民票をそのまま残した場合のデメリット】
デメリット❶ : 住民票を置ける住所の確保が必要
デメリット❷ : 役所などから届く郵便物の受け取りが必要
デメリット❸ : 国民健康保険料を払う必要がある
デメリット❹ : 国民年金の保険料を払う必要がある
デメリット❺ : 前年に所得がある場合、住民税が課税される
海外移住するときに住民票をどうするかは、悩みとなる問題の1つです。
「住民税とか健康保険料がかかるから、住民票は抜くべき」とはよく言われます。
でも株取引をしていたり、病院を使いたい人にとっては、住民票はそのまま残しておく方が良いという見方もできます。
つまり、あなた自身の状況によって判断が変わるんですよね。
紹介した住民票を残す5つのメリット・デメリットは、知っておくと安心です。
その上でどうするか、判断してみてください。
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