いったいどんな手当なの??
こんにちは、キベリンブログです。
常用就職支度手当なんて、ほとんどの人は知らないですよね。
今回は、「常用就職支度手当の内容と、受給する条件」について、紹介します。
【本記事の内容】
① 常用就職支度手当は、再就職手当を受給できないときの手当【基本手当40%】
② 常用就職支度手当の受給条件【45歳以上or障害がある人】
③ 常用就職支度手当の申請方法と手順【就職前後でやることあり】
④ まとめ:失業保険の知られていない手当を押さえて、うまく活用しよう
これまで失業保険を3回ほど受給してきました。
経験から、知られていない手当の内容を紹介していきますね。
① 常用就職支度手当は、再就職手当を受給できないときの手当【基本手当40%】
常用就職支度手当は、45歳以上や身体に障害がある人など「就職が困難な人」が就職したときにもらえます。
就職したときの手当には「再就職手当」がありますが、「再就職手当が受給できないとき」に受け取れる手当ですね。
再就職手当との違いを、簡単に比較
ここで、再就職手当と違う点を簡単に比べてみましょう。
(詳しい受給条件は、後で紹介していきます)
【再就職手当と常用就職支度手当の違い】
再就職手当 |
常用就職支度手当 |
|
対象者の制限 |
制限なし |
「45歳以上」or「就職困難者」 |
必要な支給残日数 |
3分の1以上 |
3分の1未満 |
支給額(基本手当の割合) |
60% or 70% |
40%(支給残日数で変わる) |
支給残日数とは、「就職日の時点での失業保険(基本手当)の残りの日数」です。
「必要な支給残日数」の項目を見ると、この2つは同時に受給できないことがわかりますよね。
支給額は再就職手当よりも低くなります。
要するに、常用就職支度手当は「再就職手当の要件を満たせなかったときに、別の一時金がもらえる可能性があるよ」という手当ですね。
※再就職手当については、「【失業保険】再就職手当の受給条件と申請方法【派遣・バイトも可能】」をご覧ください。
常用就職支度手当はいくら?【基本手当の40%】
常用就職支度手当の支給額は、簡単にいうと「失業保険(基本手当)の40%」です。
ただし基本手当の「支給残日数」で変わってくるので、詳細を見ていきましょう。
【支給残日数の違いによる、常用就職支度手当の支給額】
・90日以上 : 90日分 × 40% × 基本手当日額
・45日~89日 : 残日数 × 40% × 基本手当日額
・45日未満 : 45日分 × 40% × 基本手当日額
基本手当日額とは、失業保険でもらえる1日あたりの金額で、離職前の給料をベースに算出されます。
基本手当日額 : 離職前6ヶ月間の給料の合計(ボーナスは除く)を、180で割った金額の50~80%
(50~80% の割合は、給料が低いほど高くなる)
上記のとおり「45日未満」の場合は「45日分」で計算されるので、1日でも残っていれば「45日分」の扱いです。
日数が少なかったときは嬉しいですね。
次のパートで、常用就職支度手当を受給する条件を詳しく見ていきます。
② 常用就職支度手当の受給条件【45歳以上or障害がある人】
常用就職支度手当をもらうには、以下の9つの要件を満たす必要があります。
【常用就職支度手当が受給できる条件】
条件1 : 「45歳以上」or「身体に障害がある」or「社会的事情で就職が困難」であること
条件2 : 基本手当の支給残日数が「3分の1未満」あること
条件3 : 1年以上の勤務が見込まれること(派遣でも契約更新が見込まれるならOK)
条件4 : 「ハローワーク」or「職業紹介事業者」の紹介で就職していること
条件5 : 雇用保険に加入する労働条件で働くこと
条件6 : 過去3年以内に、再就職手当と常用就職支度手当を受給していないこと
条件7 : 失業保険手続き後の「待機期間 7日間」と「給付制限(自己都合退職のみ)」の後に就職したこと
条件8 : 離職前の事業主に雇用されたものでないこと
条件9 : 再就職手当が受給できないこと
「ちょっと多いな...。」と思いますよね。
順番に補足していくので、必要なところ以外は読み飛ばしてください。
条件1 : 「45歳以上」or「身体に障害がある」or「社会的事情で就職が困難」であること
常用就職支度手当は「就職困難者」のための制度なので、対象者に制限があります。
「45歳以上」の年齢は「就職日の時点」で判断されるので、注意してくださいね。
※就職困難者の要件とメリットについては、「【失業保険】就職困難者とは?優遇のメリット3つ【診断書の事例】」で解説しています。
条件2 : 基本手当の支給残日数が「3分の1未満」あること
支給残日数が所定給付日数の「3分の1未満」でないと、受給できません。
例えば所定給付日数が「180日」なら、「60日未満」ということですね。
条件3 : 1年以上の勤務が見込まれること(派遣でも契約更新が見込まれるならOK)
期間の定めのない正社員なら問題ないですが、派遣社員や契約社員だと気になりますよね。
結論として、「就職時の契約期間がたとえ1年未満であっても、契約更新が見込まれる契約」ならOKです。
雇用契約書などに書かれていなくても、聞かれたときに口頭で伝えれば問題ありません。
パートやアルバイトでも、1年以上の勤務が見込まれるなら大丈夫ですよ。
条件4 : 「ハローワーク」or「職業紹介事業者」の紹介で就職していること
「職業紹介事業者」とは、 民間の転職エージェント(マイナビエージェント、ハタラクティブ、マイナビジョブ20's など)のことです。
ハローワークと転職エージェント経由での応募で決まった場合は、条件を満たせます。
一方で、転職サイト(リクナビNEXT など)から応募した場合は受給できないので、注意しましょう。
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条件5 : 雇用保険に加入する労働条件で働くこと
雇用保険に加入する労働条件とは、以下の2つです。
【雇用保険に加入する労働条件】
・労働時間が週20時間以上
・31日以上の雇用見込みがある
2つの条件を満たすなら、雇用主はアルバイトでも雇用保険の加入を検討しなければなりません。
たとえ雇用保険に加入しなくても、上記の条件を満たしていればOKということですね。
条件6 : 過去3年以内に、再就職手当と常用就職支度手当を受給していないこと
細かい説明は不要ですね。
3年以内に「再就職手当」と「常用就職支度手当」をもらっていなければOKです。
条件7 : 失業保険手続き後の「待機期間 7日間」と「給付制限(自己都合退職のみ)」の後に就職したこと
失業保険を申請すると、「7日間の待期期間」があります。
待期期間中は「失業の状態」でいないと失業保険がもらえなくなるので、注意しておきましょう。
また、自己都合で退職すると「2か月間の給付制限」があり、すぐ失業保険は支給されません。
給付制限の期間が終わると、支給が開始されます。
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条件8 : 離職前の事業主に雇用されたものでないこと
ここも詳しい説明は不要ですね。
以前に働いていた会社と違う就職であれば、OKです。
条件9 : 再就職手当が受給できないこと
「再就職手当との違い」で比べたとおり、必要な支給残日数が異なります。
(再就職手当は「3分の1以上」、常用就職支度手当は「3分の1未満」)
必然的に「条件2」に引っ掛かることがわかりますよね。
繰り返しですが、再就職手当がもらえないときに常用就職支度手当を受給できます。
③ 常用就職支度手当の申請方法と手順【就職前後でやることあり】
常用就職支度手当の条件を満たせることがわかったら、以下の手順で申請しましょう。
申請書には、転職先に記入してもらう箇所もあります。
【常用就職支度手当の申請方法と手順】
❶ 就職が決まったら、就職の通知と失業の認定のためハローワークに行く
❷ 就職先に入社後、会社に「常用就職支度手当支給申請書」の記入を依頼する
❸ ハローワークに常用就職支度手当の申請書類を提出する(郵送でもOK)
❹ 約1か月の審査期間を経て、指定した口座に手当が支給される
❶ 就職が決まったら、就職の通知と失業の認定のためハローワークに行く
就職が決まったら、ハローワークへ通知および失業の認定をする必要があるので、ハローワークへ行きます。
必要なものは、次の4点です。
・雇用保険受給資格者証
・失業認定申告書
・印鑑
・採用証明書(※内定通知書や雇用契約書でもOK)
この手続きのときに、「常用就職支度手当支給申請書」などの申請書類を受け取っておきましょう。
※就職が決まった場合の失業認定申告書の書き方は、「失業認定申告書の書き方を求職活動実績の記入例で解説」で紹介しています。
❷ 就職先に入社後、会社に「常用就職支度手当支給申請書」の記入を依頼する
「常用就職支度手当支給申請書」には、一部だけですが就職先に記入してもらう項目があります。
入社したら、会社に記入を依頼しましょう。
❸ ハローワークに常用就職支度手当の申請書類を提出する(郵送でもOK)
会社に記入してもらった申請書を受け取り、「雇用保険受給資格者証」と合わせてハローワークへ提出します。
郵送でもOKなので、ハローワークへ行くのが難しければ郵送を利用しましょう。
申請は「就職日から1か月以内」に行う必要があるので、遅れないようにしてくださいね。
❹ 約1か月の審査期間を経て、指定した口座に手当が支給される
申請書を提出後、1か月ほど審査期間があります。
審査を経て支給が決まると「文書で通知が届く」ので、確認するようにしましょう。
支給決定から約1週間で、指定した口座に手当が支給されます。
なお、支給決定の時点で「会社を辞めていた場合」は、受給できなくなります。
もらってから退職する場合は、特に問題ありません。
「辞めたいな...。」と思ったら、支給を確認してから辞める方が良いですね。
④ まとめ:失業保険の知られていない手当を押さえて、うまく活用しよう
本記事では、「常用就職支度手当の内容と、受給する条件」を紹介しました。
ポイントをまとめます。
【再就職手当と常用就職支度手当の違い】
再就職手当 |
常用就職支度手当 |
|
対象者の制限 |
制限なし |
「45歳以上」or「障害がある人」 |
必要な支給残日数 |
3分の1以上 |
3分の1未満 |
支給額(基本手当の割合) |
60% or 70% |
40%(残日数で変わる) |
【常用就職支度手当が受給できる条件】
条件1 : 「45歳以上」or「身体に障害がある」or「社会的事情で就職が困難」であること
条件2 : 基本手当の支給残日数が「3分の1未満」あること
条件3 : 1年以上の勤務が見込まれること(派遣でも契約更新が見込まれるならOK)
条件4 : 「ハローワーク」or「職業紹介事業者」の紹介で就職していること
条件5 : 雇用保険に加入する労働条件で働くこと
条件6 : 過去3年以内に、再就職手当と常用就職支度手当を受給していないこと
条件7 : 失業保険手続き後の「待機期間 7日間」と「給付制限(自己都合退職のみ)」の後に就職したこと
条件8 : 離職前の事業主に雇用されたものでないこと
条件9 : 再就職手当が受給できないこと
【常用就職支度手当の申請方法と手順】
❶ 就職が決まったら、就職の通知と失業の認定のためハローワークに行く
❷ 就職先に入社後、会社に「常用就職支度手当支給申請書」の記入を依頼する
❸ ハローワークに常用就職支度手当の申請書類を提出する(郵送でもOK)
❹ 約1か月の審査期間を経て、指定した口座に手当が支給される
常用就職支度手当なんて、普通なら知らないですよね。
私も失業保険を受給してから、初めて知りました。
位置付けとしては再就職手当と似たものですが、目的としては「就職が困難な人」の就職を促進するためのものです。
失業保険の知られていない手当を押さえて、条件を満たせそうならしっかり活用しましょう!
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