受給する条件や申請方法は変わったのかな?
こんにちは、キベリンブログです。
育児休業給付は、2020年4月より失業給付から分離して独立しました。
今回は、「育児休業給付を受給する条件と申請方法」について、紹介します。
【本記事の内容】
① 育児休業給付は、失業給付から分離して独立した【2020年4月改正】
② 育児休業給付金の条件・受給期間・受給額【月給の67%】
③ 育児休業給付金の申請方法【会社から手続き】
④ まとめ:雇用保険の手当の育児休業給付を、しっかり活用しよう
失業給付は3回受給してきました。
雇用保険の活用経験から、育児休業でもらえる給付金をわかりやすく語っていきますね。
① 育児休業給付は、失業給付から分離して独立した【2020年4月改正】
育児休業給付は、育児休業中にもらえる「雇用保険」の手当です。
なので、管轄はハローワークなんですよね。(ただし申請は原則として会社経由)
2020年4月より、法改正で失業給付(雇用継続給付)から分離した
もともと育児休業給付は、「失業等給付」にある「雇用継続給付」というグループの手当でした。
【失業給付の雇用継続給付の種類】
・高年齢雇用継続給付
・介護休業給付
・育児休業給付 → 2020年4月から分離して独立
雇用保険法の改正で、2020年4月から育児休業給付は雇用継続給付から分離しています。
なぜ分離したかというと、財政を安定的に運営していく背景からですね。
情報が古いままのサイトも多いです。
2021年現在では、育児休業給付は雇用継続給付ではなくなっているので、念のため注意しておいてくださいね。
※高年齢雇用継続給付と介護休業給付については、それぞれ「高年齢雇用継続給付とは?受給条件を簡単解説【2種類】」、「介護休業給付金とは?受給条件と申請方法【月給67%】」で紹介しています。
② 育児休業給付金の条件・受給期間・受給額【月給の67%】
育児休業給付金の内容を、ポイント別に解説していきますね。
【育児休業給付金のポイント】
・受給の条件
・受給できる期間
・受給額(※休業中に給料がもらえない場合)
・受給額(※休業中に給料が支払われた場合)
・その他の注意点
上から順に見ていきます。
なお、受給額は「休業中の給料の有無」で変わってくるので、分けて書いてあります。
受給の条件
・休業前に、雇用保険の加入期間が1年以上あること
・1歳未満(保育所に入れない場合は最長2歳)の育児による休業であること
・休業中に8割以上の月給が支払われていないこと
・休業中の就業日数が1か月で10日以下(10日を超える場合は80時間以内)であること
原則は「1歳未満まで」なのですが、一定の要件を満たせば「最長2歳まで」延長できます。
延長の要件は「希望しているのに保育所に入れない」といった理由が必要になります。
受給できる期間
・支給は「育児休業開始日」からスタートするが、女性と男性で開始日が異なる
・女性の育児休業開始日:出産日から58日目(8週間の産後休業の後)
・男性の育児休業開始日:出産日以降
・子が「1歳になる前日」まで支給される
・子が1歳になる前に職場復帰した場合は、「復帰日の前日」まで
・保育所に入れないなど延長の要件を満たした場合は、子が2歳になる前日まで
・支給の単位は、「育児休業を開始した日から1か月ごと」に支給
支給は育児休業の開始から「1か月単位」でもらえます。
女性と男性で「育児休業開始日」の取扱いが変わるので、注意してくださいね。
受給額(※休業中に給料がもらえない場合)
・受給額 = 休業前の賃金月額 × 給付率(67% or 50%)
・給付率は、休業開始から6か月間は「67%」、6か月経過後は「50%」
※賃金月額:「休業開始前の6か月間」の平均月給(ボーナスは除く)
育児休業前に産前産後休業を取っていたら、賃金月額はその前の6か月間で計算されます。
具体例で受給額をみてみると、以下のとおりです。
【受給額(育児休業中は給料なし)の具体例】
・賃金月額 20万円の場合:休業開始6か月間は月13.4万円、6か月後は10万円
・賃金月額 25万円の場合:休業開始6か月間は月16.7万円、6か月後は12.5万円
・賃金月額 30万円の場合:休業開始6か月間は月20.1万円、6か月後は15万円
受給額(※休業中に給料が支払われた場合)
・給料が賃金月額の「13%(30%)」以下:賃金月額の 67%(50%)
・給料が賃金月額の「13%(30%)~80%」:賃金月額の 80% - 給料の額
・給料が賃金月額の「80%」以上:支給なし
※カッコ内の割合は、休業開始から「6か月経過後」に適用される割合
休業中に給料をもらった場合は、給料の額で給付金の支給額が変わります。
こちらも3パターンで具体例を見ておきましょう。
【受給額(休業中に給料あり)の具体例】
・賃金月額 25万円、休業中の給料 2.5万円の場合:休業開始6か月間は月16.7万円、6か月後は12.5万円
・賃金月額 25万円、休業中の給料 7.5万円の場合:休業開始6か月間は月12.5万円、6か月後も12.5万円
・賃金月額 25万円、休業中の給料 20万円の場合:支給なし
(※具体例の休業中の給料は、上から賃金月額の「10%(2.5万)、30%(7.5万)、80%(20万)」の割合)
休業中の給料が賃金月額の「13%(30%)以下」なら、給料なしの場合と同じ受給額です。
給料が賃金月額の「13%(30%)~ 80%」になると計算が面倒になるので、注意してくださいね。
その他の注意点
・育児休業の取得時にあらかじめ退職を予定している場合は、給付金は受給できない
・育児休業給付は非課税なので、税金はかからない
・休業中(給料なしの場合)は、社会保険料(健康保険、厚生年金、雇用保険)は免除される
・住民税は前年の所得にかかるので、休業中でも前年の所得から算出された住民税を支払うことになる
育児休業給付は「職場復帰」を前提としている制度なので、退職予定の場合は給付を受けられません。
職場復帰してから辞める分には問題ないので、その点は注意してくださいね。
※ただ、退職して育児中に求職活動をするとき、失業保険には別の手当もあります。
詳しくは「求職活動関係役務利用費の給付と条件【保育費80%】」をご覧ください。
③ 育児休業給付金の申請方法【会社から手続き】
育児休業給付金の申請は、原則として会社を経由して行います。
なので「本人 ⇔ 会社 ⇔ ハローワーク」の流れですね。
ただし、希望すれば自分で申請することもできますよ。
申請に必要な書類と、流れを説明していきますね。
【初回の申請に必要な書類】
・雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書【※会社が用意】
・育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書【※本人と会社が記入】
・賃金の額を確認できる書類(賃金台帳など)【※会社が用意】
・育児の事実が確認できる書類(母子手帳など)【※本人が用意】
【2回目以降の申請に必要な書類】
・育児休業給付支給申請書(初回の申請後にハローワークから交付)【※会社が用意】
・賃金の額を確認できる書類(賃金台帳など)【※会社が用意】
【育児休業給付の申請の流れ】
❶ 本人から会社に申請の希望を申し出て、「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」を記入・提出する
❷ 会社がハローワークに「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」を提出する
❸ 審査後、ハローワークから会社を経由して「受給資格確認通知書」と「育児休業給付支給申請書(2回目以降)」が交付される
❹ 支給決定から約1週間後、初回の育児休業給付金が支給される
❺ 会社から2回目以降の申請を行う(原則は2か月に1回)
支給申請書には受給する口座番号など、本人が記入する項目もあります。
会社を経由しての申請なので、会社の担当者とうまく調整してくださいね。
④ まとめ:雇用保険の手当の育児休業給付を、しっかり活用しよう
本記事では、「育児休業給付を受給する条件と申請方法」を紹介しました。
ポイントをまとめます。
【育児休業給付が受給できる条件】
・休業前に、雇用保険の加入期間が1年以上あること
・1歳未満(保育所に入れない場合は最長2歳)の育児による休業であること
・休業中に8割以上の月給が支払われていないこと
・休業中の就業日数が1か月で10日以下(10日を超える場合は80時間以内)であること
【受給できる期間】
・支給は「育児休業開始日」からスタートするが、女性と男性で開始日が異なる
・女性の育児休業開始日:出産日から58日目(8週間の産後休業の後)
・男性の育児休業開始日:出産日以降
・子が「1歳になる前日」まで支給される
・子が1歳になる前に職場復帰した場合は、「復帰日の前日」まで
・保育所に入れないなど延長の要件を満たした場合は、子が2歳になる前日まで
・支給の単位は、「育児休業を開始した日から1か月ごと」に支給
【受給額(※休業中は給料がもらえない場合)】
・受給額 = 休業前の賃金月額 × 給付率(67% or 50%)
・給付率は、休業開始から6か月間は「67%」、6か月経過後は「50%」
※賃金月額:「休業開始前の6か月間」の平均月給(ボーナスは除く)
【受給額(育児休業中は給料なし)の具体例】
・賃金月額 20万円の場合:休業開始6か月間は月13.4万円、6か月後は10万円
・賃金月額 25万円の場合:休業開始6か月間は月16.7万円、6か月後は12.5万円
・賃金月額 30万円の場合:休業開始6か月間は月20.1万円、6か月後は15万円
少子化は、日本の大きな課題ですよね。
育児休業給付は、2020年4月より安定的に運営するため失業給付の「雇用継続給付」の枠から分離して独立しました。
今後は、条件の緩和や給付額の拡大なども期待されます。
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