失業保険の離職理由って、自己都合になっちゃうのかな?
こんにちは、キベリンブログです。
残業ばかりだと自分の時間もなくなるし、心もつらくなりますよね。
今回は、「失業保険で会社都合退職になる残業時間の条件」について、紹介します。
【本記事の内容】
① 失業保険で優遇される、会社都合退職の3つのメリット【健康保険料も安くなる】
② 会社都合退職になる残業時間の条件とは【45時間と証明方法】
③ まとめ:失業保険のしくみを知ると、残業での退職も会社都合退職になる
失業保険は3回受給してきました。
残業による失業保険の支給額の増額なども、わかりやすく語っていきますね。
① 失業保険で優遇される、会社都合退職の3つのメリット【健康保険料も安くなる】
残業での会社都合退職になる話をする前に、会社都合で優遇される点を簡単に紹介しておきますね。
違いを知っておくと、会社都合になるメリットを活かせます。
失業保険では、「離職理由(自己都合 or 会社都合)」で給付の条件に違いがあります。
なぜ違うかというと、会社都合は意思によらず退職せざるを得ないため、経済的にも準備が難しいといった状況が考慮されているからですね。
【失業保険で優遇される会社都合退職のメリット】
・給付制限がない
・給付日数が増える
・国民健康保険料の軽減措置がある
おもなメリットは、上記の3つです。
それぞれ説明していきますね。
給付制限がない
・自己都合退職 : 給付制限あり(2ヶ月間)
・会社都合退職 : 給付制限なし
よく知られていますが、失業保険には「2ヶ月の給付制限期間」があります。
申請してから2ヶ月経過しないと、基本手当の支給が開始されません。
この給付制限が、失業保険で厳しいところなんですよね。
でも会社都合退職だと、給付制限がなくなります。
つまり、申請して7日間の待期期間が終わったら、すぐに支給が開始されます。
ただし認定日までに求職活動実績が必要なので、忘れないよう注意しておきましょう。
※実績を作りやすい方法は、「【失業保険】求職活動実績を1日で2回作るには?当日の作り方を解説」をご覧ください。
給付日数が増える
失業保険(基本手当)の支給は、1日単位で計算されます。
そのため雇用保険の加入期間に応じた「給付日数」が割り当てられ、給付日数が多いほど、支給額も増えるしくみになっています。
給付日数は自己都合(上の表)と会社都合(下の表)で差があり、会社都合の方が優遇されています。
自己都合は「90日 ~ 150日」ですが、会社都合は「90日 ~ 330日」と増えています。
例えば「月給30万円・年齢30歳」で給付日数(支給額)を比べると、自己都合は「90日(約54万円)」、会社都合は「180日(約108万円)」になります。
支給額が「54万円」も違うとなると、大きな差があることがわかりますよね。
会社都合では年齢も考慮されており、特に30歳以上になると大幅に増えやすくなります。
日本では高齢になるほど転職が難しくなることが背景にあるため、こういった措置が取られています。
国民健康保険料の軽減措置がある
・年収300万円の場合:約20万円も安くなる
・年収500万円の場合:約30万円も安くなる
・年収1000万円の場合:約60万円も安くなる
退職後の健康保険料は、大きな負担になってきます。
なぜなら、働いていた時の収入で保険料が計算されるため、かなり高くなるからですね。
例えば年収500万円だったら、1ヶ月あたり「約3万円(40歳以上なら約36,000円)」の保険料を払います。
退職後で収入がない状態でこの金額を払うとなると、けっこう厳しいはず。
ですが会社都合退職だと、「健康保険料の軽減措置(所得を100分の30として計算)」が受けられます。
年収500万円なら、軽減措置により年間で「約30万円」も安くなります。
なお、退職後の健康保険で「任意継続(退職前の会社の健康保険に入る)」を選んだ場合は、軽減措置は受けられません。
軽減措置が受けられる会社都合退職なら「国民健康保険(あなたの自治体の健康保険)」を選ぶ方がお得になるので、注意してくださいね。
※国民健康保険と任意継続の違いについては、「【退職後】任意継続と国民健康保険はどっちが安い?【比較と選び方】」で解説しています。
② 会社都合退職になる残業時間の条件とは【45時間と証明方法】
残業時間(時間外労働)の上限は、月45時間・年360時間と労働基準法で定められています。
背景としては、労働時間が長くなるほど、脳や心臓疾患への関連性が強くなるとされているためです。
会社は、労働者に対して安全に配慮する義務があります。
なので残業時間が規定のラインを超えていたら、会社に責任があるんですよね。
失業保険でもこの内容が考慮され、残業時間の多さが要因で退職したときは「会社都合退職」が認められます。
具体的な残業時間や証明に必要な書類など、詳しく見ていきましょう。
会社都合退職になる、残業時間の条件
・3ヶ月連続で、月45時間以上
・2~6ヶ月間の平均が、月80時間以上
・1ヶ月で、100時間以上
上記3つのうち、どれか1つでも該当して退職した場合は、会社都合退職になります。
今の時代は働き方改革などで、以前よりも労働時間は減ってきています。
月80時間以上となるような残業は、以前と比べて少ないかもしれません。
ですが1つ目の「3ヶ月連続で月45時間以上」の残業は、まだまだ発生しているはず。
毎日2時間ちょっと残業を繰り返していたら、45時間のラインを超えてきます。
会社が残業規制などを設けていなければ、意図的に残業して超えることも可能かもしれません。
残業により給料が増えると、失業保険の支給額も増える
・失業保険の支給額は、退職前の半年間の給料から計算される
・支給額 = 給付日数 × 基本手当日額(1日あたりの給料の50~80%)
・残業して給料を増やせば、失業保険も増える
失業保険の支給額は、「退職前の半年間の給料」をベースに計算されます。
前のパートで紹介した「給付日数」と、1日あたりの支給額である「基本手当日額」を掛け算します。
基本手当日額は、「退職前の半年間の給料を1日あたりに平均した50~80%」となります。
50~80%と幅があるのは、ちょっと計算がややこしく、ざっくり7割ほどと考えてOKです。(給料が低いほど割合は大きくなる)
つまり、退職する前に残業時間を増やして給料を上げれば、失業保険も増えるわけですね。
「残業で給料増やす(基本手当日額が増える) → 3ヶ月連続で残業45時間を超過 → 会社都合退職になる(給付日数が増える)」という流れも可能です。
残業時間の証明に、必要な書類
・タイムカード
・給与明細書
・会社の入退出の記録データや、PCのログデータ など
どのくらい残業したかを証明するには、上記のような書類が必要です。
どれか1つでOKなので、求められたら出せるよう準備しておきましょう。
出退勤の日付と時刻がすぐに判断できる、タイムカードが最も良いですね。
タイムカードの準備が難しければ、会社の建物に出入りするときの入退出記録のデータや、PCのログデータなども認められたりするので、ハローワークに相談してみましょう。
③ まとめ:失業保険のしくみを知ると、残業での退職も会社都合退職になる
本記事では、「失業保険で会社都合退職になる残業時間の条件」を紹介しました。
ポイントをまとめます。
【失業保険で優遇される会社都合退職のメリット】
・給付制限がない
・給付日数が増える
・国民健康保険料の軽減措置がある
【会社都合退職になる、残業時間の条件】
・3ヶ月連続で、月45時間以上
・2~6ヶ月間の平均が、月80時間以上
・1ヶ月で、100時間以上
【残業による失業保険の支給額への影響】
・失業保険の支給額は、退職前の半年間の給料から計算される
・支給額 = 給付日数 × 基本手当日額(1日あたりの給料の50~80%)
・残業して給料を増やせば、失業保険も増える
残業が多いことが理由で退職した場合、失業保険では会社都合退職になります。
会社都合になると自己都合より条件が優遇されるため、得られるメリットは大きいんですよね。
ただし、残業時間の規定は具体的に決まっており、「月45時間以上」などとラインがあります。
タイムカードなど証明できる書類も必要なので、この点は注意が必要ですね。
退職前に残業で給料が増えれば、失業保険の支給額も増えます。
失業保険のしくみは意外と複雑ですが、知っておくと制度を活用できるので、うまく利用してくださいね。
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