失業保険は普通にもらえるのかな?
こんにちは、キベリンブログです。
病気やケガで退職したとき、最長で2年6ヶ月もらえる方法があります。
今回は、「病気やケガで退職したときの、失業保険のもらい方」について紹介します。
【本記事の内容】
① 病気やケガで退職したら、傷病手当金と失業保険を受給できる【最長2年6ヶ月】
② 退職後、傷病手当金と失業保険を受給する手順【受給期間延長に注意】
③ まとめ:病気・ケガの回復を最優先に、失業保険と健康保険をしっかり使おう
失業保険は3回受給しましたが、しくみが複雑で難しいですよね。
通常とは異なるもらい方を、わかりやすく紹介していきます。
① 病気やケガで退職したら、傷病手当金と失業保険を受給できる【最長2年6ヶ月】
失業中の再就職活動に集中できるよう、支援するための給付が「失業保険(失業手当)」です。
失業保険の受給には、「すぐ働ける状態であること」という条件があります。
つまり、病気やケガでしばらく働けない場合、失業保険は受給できません。
「じゃあ病気やケガで退職したら、治るまで給付はないの?」と思いますよね。
そういったときのために、健康保険の「傷病手当金」があります。
失業保険の受給と合わせて、見ていきましょう。
健康保険の傷病手当金は、退職後も支給される【最長1年6ヶ月】
・傷病手当金 : 健康保険の制度
・傷病手当金の支給額 : 月給の約65%(3分の2)
・支給期間 : 病気やケガが治るまで(最長1年6ヶ月)
傷病手当金とは、会社員が加入する「健康保険の制度」で、病気やケガで働けない場合に支給されます。
支給額は、月給の「約65%(3分の2)」ほどです。
例えば、月給が30万円であれば、傷病手当金は約20万円ですね。
これが「病気やケガが治るまで(最長で1年6ヶ月まで)」もらえます。
「でも会社の健康保険ってことは、辞めたらもらえないんじゃないの?」と思うかもしれません。
健康保険に1年以上加入していれば、傷病手当金は退職後も引き続き支給を受けられます。
失業保険(雇用保険の失業手当)は、病気やケガが治ったら受給できる
・失業保険 : 雇用保険の制度(失業手当)
・失業保険の支給額 : 月給の約50~80%(ざっくりで約60%)
・支給期間 : 3ヶ月~1年(雇用保険の加入期間、離職理由、年齢などから決まる)
一方で失業保険(失業手当)は、正確には雇用保険の制度で、再就職をめざす人を支援するための給付ですね。
支給額は、月給の「約50~80%(ざっくりで約60%)」ほどです。
例えば、月給が30万円であれば、失業保険は約18万円ですね。
もらえる期間(給付日数)は雇用保険の加入期間などから決まるのですが、「3ヶ月~1年(90日~360日)」と幅があります。
繰り返しですが、病気やケガで働けない状態だと再就職できないので、失業保険は受給できません。
でも、病気やケガが治って働ける状態になったら、失業保険がもらえるようになります。
傷病手当金と失業保険は同時に受給できないが、順番なら可能
・傷病手当金 : 病気やケガで働けない状態のときに、受給できる
・失業保険 : いつでも就職できる状態のときに、受給できる
傷病手当金と失業保険を見ていて気づいたかもしれませんが、傷病手当金と失業保険は同時には受給できません。
なぜなら、受給の条件が相反するものだからですね。
でも、「傷病手当金 → 失業保険」と順番に受給することは可能です。
病気やケガが治るまでは「傷病手当金」を受給し、治って就職できる状態になったら「失業保険」を受給できます。
2つの手当を合計すると、最大で「2年6ヶ月」まで受給できます。
受給の手順がすこしややこしいので、次のパートで詳しく紹介していきますね。
※失業保険の受給中に病気やケガで働けない状態になってしまった場合は、「傷病手当(※健康保険の傷病手当金とは異なる手当)」に切り替えることができます。
詳しくは「失業保険の傷病手当とは?【健康保険の傷病手当金とは異なる】」をご覧ください。
② 退職後、傷病手当金と失業保険を受給する手順【受給期間延長に注意】
傷病手当金と失業保険は同時に受給できませんが、順番であれば可能です。
ここで、両方もらうための具体的な手順を紹介しますね。
【傷病手当金と失業保険を受給する手順】
❶ 退職する前にやること
❷ 健康保険の傷病手当金の手続き
❸ 失業保険の手続き
❶ 退職する前にやること
・連続して3日間以上、会社を休む
・病院へ行き、診断書(働けない状態を示すもの)をもらう
・会社に退職する旨を伝え、退職届を提出する
・退職日は出社せず、会社を休む
【連続して3日間以上、会社を休む】
傷病手当金をもらうには、「病気やケガで会社を休んだ日が、連続で3日間以上あること」という条件があります。
「連続した3日間」というのがポイントなので、注意してくださいね。
有給休暇を使って休んでもOKです。
なお、「退職日」も休む必要がある(後で説明していきます)ので、有休の日数も考えておくと安心ですね。
【病院へ行き、診断書(働けない状態を示すもの)をもらう】
会社を休んだら、働けない状態であることを示す「診断書(証明書)」をもらいましょう。
診療内科や精神科など、症状に合った病院に行けばOKです。
注意点として、「職場のストレスが原因」と診断されると、労災となり傷病手当金が受給できなくなります。
原因は「不詳」としてもらうと無難ですが、もし診断書を出してもらえなければ、他の病院を受診しましょう。
【会社に退職する旨を伝え、退職届を提出する】
病気やケガが回復しなかったら、上司に退職の旨を伝えましょう。
多くの会社は退職届のフォーマットを用意しているので、指示にしたがって提出すればOKです。
退職届の提出は、法律だと2週間前までとされていますが、会社ごとの就業規則などでは「1か月前まで」とされているのが一般的です。
できるだけ早めに出しておくと安心ですね。
【退職日は出社せず、会社を休む】
退職後も傷病手当金を受給するには、「退職日は休んでいること」と「健康保険の加入期間が1年以上あること」が条件です。
退職日は出社せず、会社を休みましょう。
出社してしまうと、退職後に傷病手当金を受給できなくなるので、注意してくださいね。
ちなみに退職日が土日など公休日の場合は、休んだと判断されるため、特に気にしなくて大丈夫です。
❷ 健康保険の傷病手当金の手続き
・退職後、健康保険を切り替える
・健康保険組合に、傷病手当金を申請する
・1ヶ月に1回、病院に行く
【退職後、健康保険を切り替える】
傷病手当金は健康保険の制度ですが、退職したら「国民健康保険」に切り替えてOKです。
退職から「14日以内」に手続きしましょう。
なお、会社の健康保険にそのまま入る「任意継続」も選べます。
どちらの方が保険料が安くなるかは、年収で変わってきます。
※健康保険の選び方の詳しい内容は、「【退職後】任意継続と国民健康保険はどっちが安い?【比較と選び方】」をご覧ください。
【健康保険組合に、傷病手当金を申請する】
健康保険組合のサイトなどをチェックして、傷病手当金の申請書を入手しましょう。
「協会けんぽ」の場合は、サイトからダウンロードできます。
申請書は、「あなたが記入するページ」「会社が記入するページ」「病院(医師)が記入するページ」の3つがあります。
会社と病院に記入を依頼しましょう。(病院への依頼は、退職後に病院へ行ったときでOK)
記入がすべて終わったら、健康保険組合に送付します。
申請から約1ヶ月ほどで、支給決定通知書が返送されてきます。
【1ヶ月に1回、病院に行く】
退職して1~2週間したら、病院へ行って診察を受けましょう。
このときに、申請書の記入も依頼します。
病院の受診は、毎月1回は受ける必要があります。
なぜなら、傷病手当金の受給には、毎月ごとに申請書を提出する必要があるからですね。
2回目以降の申請書については、あなたと病院(医師)が記入するページだけでOKです。
なお、傷病手当金の支給は「病気やケガが治るまで(最長でも1年6ヶ月)」であり、治ったら支給は止まります。
❸ 失業保険の手続き
・ハローワークへ行き、失業保険の受給期間延長の申請をする
・病気やケガが回復したら、病院で診断書を記入してもらう
・再度ハローワークへ行き、失業保険の受給期間延長を解除する
・認定日までに求職活動を行い、失業保険を受給する
【ハローワークへ行き、失業保険の受給期間延長の申請をする】
失業保険の受給期間は、「退職してから1年以内」と決められています。
ですが、病気やケガで働けない状態の場合、失業保険は受け取れません。
しばらく病気やケガが治らなければ、1年の受給期間を過ぎてしまいますよね。
そこで、病気やケガの場合は、最長で4年まで失業保険の受給期間延長の申請ができます。
申請が可能になるのは、「退職して約1ヶ月後(正確には働けなくなった日の翌日から30日経過後)」からです。
あなたの住所地を管轄するハローワークへ行って、延長申請を行いましょう。
※必要書類などの申請方法は、「失業保険の受給期間を延長する方法とは?【条件を解説】」で解説しています。
【病気やケガが回復したら、病院で診断書を記入してもらう】
病気やケガが回復して働ける状態になったら、病院から「診断書(就労可能証明書)」をもらいましょう。
失業保険の受給期間延長を解除するのに、必要となります。
【再度ハローワークへ行き、失業保険の受給期間延長を解除する】
診断書(就労可能証明書)を受け取ったら、再度ハローワークへ行って受給期間延長の申請を解除します。
この解除申請のときに、「就職困難者」であることを伝えましょう。
なぜなら、失業保険の給付日数が通常よりも長くなるからですね。
就職困難者の場合、45歳未満は「300日(約10ヶ月)」、45~64歳は「360日(約1年)」ほど支給されます。
傷病手当金(1年6ヶ月)と合計すると、最長で「2年6ヶ月」の給付を受けられる可能性があります。
一般の場合だと、雇用保険の加入期間などから「90日~330日」の間で決まります。
※就職困難者の制度とメリットについては、「【失業保険】就職困難者とは?優遇のメリット3つ【診断書の事例】」をご覧ください。
【認定日までに求職活動を行い、失業保険を受給する】
失業保険の受給には、4週間ごとの認定日までに「求職活動実績」が必要です。
就職困難者は1回以上、一般の場合は2回以上の求職活動実績がないと、失業保険は支給されません。
実績として認められる求職活動には、「求人応募」や「セミナー受講」など、明確な基準が決められています。
「ネットで求人検索した」といったレベルだと認められないので、注意してくださいね。
※失業保険の受給の流れは、「失業保険の受給の流れとスケジュール【自己都合退職は給付制限あり】」を参考にしてくださいね。
③ まとめ:病気・ケガの回復を最優先に、失業保険と健康保険をしっかり使おう
本記事では、「病気やケガで退職したときの、失業保険のもらい方」を紹介しました。
ポイントをまとめます。
【病気やケガで退職したときの、失業保険のもらい方】
・病気やケガで退職したら、傷病手当金と失業保険が受給できる
・傷病手当金は健康保険の制度で、退職後も支給される
・傷病手当金と失業保険は同時に受給できないが、順番なら可能
今回の記事は長くなってしまいましたが、1回で理解するのは難しいですよね。
まずは「こんな手当があるんだな」ぐらいに知ってもらえればOKです。
病気やケガで退職せざるを得ない場合、補償がないと生活は厳しくなります。
そんなときのために、失業保険や健康保険の知識を知っているだけで、大きな違いがあります。
最長で2年6ヶ月も給付を受けられるなら、焦らず新たな転職先も探せるはずです。
まずは病気やケガからの回復を最優先にして、失業保険と健康保険をしっかり活用してくださいね。
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