こんにちは、キベリンブログです。
税金はしくみがややこしくて、非課税のメリットもあまり知られていないですよね。
今回は、「住民税非課税世帯の7つのメリットと、年収の目安」について紹介します。
【本記事の内容】
① 住民税非課税世帯で優遇される、7つのメリット【デメリットはあるのか】
② 住民税非課税世帯になる、わかりやすい年収の目安【会社員とフリーランス・無職】
③ まとめ:住民税非課税のメリットを知れば、優遇措置をうまく活用できる
会社を退職した年などは、住民税非課税になる可能性があります。
会社員・フリーランス・無職での年収の目安など、わかりやすく語っていきます。
① 住民税非課税世帯で優遇される、7つのメリット【デメリットはあるのか】
住民税非課税世帯とは、住んでいる自治体に納める住民税が課税されない世帯のことです。
住民税は「前年の所得」から計算されますが、所得が基準よりも低いと非課税になります。(基準の目安は次のパートで紹介します)
先に住民税非課税世帯のデメリットに触れておくと、それ自体にデメリットはありません。(所得が少ないことは別にして)
なぜなら、「住民税非課税世帯だから何かができなくなる」といったことはないからですね。
そうなると、知っておきたいのは優遇されるメリットです。
どんなメリットがあるのか、具体的に見ていきましょう。
【住民税非課税世帯のメリット】
❶ 臨時特別給付金の対象になる
❷ 国民健康保険料の軽減措置がある
❸ 国民年金保険料の免除がある
❹ 医療費の軽減措置がある
❺ 0~2歳児の保育料無償化される
❻ 大学無償化制度の対象になる
❼ 各自治体が行う独自の優遇措置がある
おもに7つのメリットがあります。
順番に説明していきますね。
❶ 臨時特別給付金の対象になる
新型コロナウイルスの影響や物価上昇で社会が厳しい状況になると、政府が臨時の給付金を支給することがあります。
給付金は住民税非課税世帯が対象になることが多く、もらえる可能性が高いです。
なぜ住民税非課税世帯が選ばれるかというと、実務を担う自治体が私たち個人の所得状況を把握しているからですね。
臨時給付金の支給には早さが求められるため、選別に使われやすい実情があります。
例えば、2024年1月以降には、住民税非課税世帯に「給付金7万円(支給済みの3万円と合わせて10万円)」が支給されます。
今後も経済状況が厳しくなれば、新たな給付金の対象になるかもしれません。
❷ 国民健康保険料の軽減措置がある
国民健康保険料は、たとえ「収入がゼロ」であっても、支払わなければなりません。
でも住民税非課税世帯になる所得の水準だと、軽減措置が受けられます。
所得額に応じて、「7割 / 5割 / 2割」の割合で国民健康保険料が減額されます。
毎月数千円レベルまで安くなるので、かなり負担は軽くなりますよ。
※「非自発的失業」をした場合は、所得額にかかわらず健康保険料の軽減措置の対象になります。
詳しくは「【健康保険】退職後の保険料の軽減制度とは?【退職理由が重要】」をご覧ください。
❸ 国民年金保険料の免除がある
国民年金保険料は毎月の支払いが義務になっています。
ですが住民税が非課税であるほど所得が少なければ、保険料を免除してもらうことが可能です。
免除の割合は所得額に応じて、「全額免除 / 4分の3免除 / 半額免除 / 4分の1免除」の4段階で免除されます。
毎月1万7千円ほどの負担が少なくなるのは、きっと大きいはずです。
※会社を退職した場合は、所得や離職理由に関係なく免除制度の利用が可能です。
詳細は「【国民年金】退職したら保険料の免除制度を利用しよう【申請は簡単】」で解説しています。
❹ 医療費の軽減措置がある
1ヶ月の医療費が "自己負担上限額" を超えると、超えた分が支給される「高額療養費制度」というものがあります。
住民税非課税世帯になると、この自己負担上限額が低めの金額(70歳未満は35,400円)に設定されます。
上限額を超えた分は支払わなくて良いので、負担は軽くなります。
万が一大きな病気にかかっても、医療費が少なくて済むメリットがあります。
❺ 0~2歳児の保育料無償化される
子どもが0~2歳児の場合、住民税非課税世帯だと保育所などの費用が無料で利用できます。
ただし、「認可外保育施設」の場合は "月額4.2万円まで無料" という上限があるので、注意しておきましょう。
❻ 大学無償化制度の対象になる
大学無償化制度は、入学金や授業料の減免、給付型奨学金を受けられる制度です。
住民税非課税世帯は、入学金が最大28万円、授業料が最大70万円まで免除されます。
❼ 各自治体が行う独自の優遇措置がある
各自治体(市区町村)では、住民税非課税世帯に独自の優遇措置を取っていることが多いです。
特に多いのは、「特定健康診断」や「がん検診」などの費用負担の免除・減額ですね。
他にも優遇措置はありますが、自治体によって行っている優遇措置は異なります。
あなたの自治体のサイトなどでチェックしてみてくださいね。
② 住民税非課税世帯になる、わかりやすい年収の目安【会社員とフリーランス・無職】
住民税は「前年の所得(1月~12月末日)」から計算されますが、所得が基準よりも少なければ「住民税は非課税」になります。
会社員やフリーランス、無職などの職業によっても、住民税が非課税になる年収の目安は変わってきます。
加えて、"住民税非課税世帯" と言われるとおり、個人ではなく「世帯」です。
これらの点を踏まえて、職業別における年収・所得の目安と、世帯での判断をわかりやすく紹介していきます。
【住民税が非課税となる年収と所得の目安(※単身者の場合)】
・会社員、派遣、パート・アルバイト : 年収100万円以下
・フリーランス(個人事業主)、無職 : 所得45万円以下
・収入が複数(会社員+副業など): 合計所得45万円以下
(※市区町村によって金額は多少前後する場合あり)
会社員、派遣、パート・アルバイト : 年収100万円以下
・前年の収入が、給料だけの場合(給与収入のみ)
・「所得 = 収入(100万円) - 給与所得控除(55万円)」のため、所得でみると45万円以下
前年の収入が「給与収入のみ(会社からもらう給料)」の場合は、「年収100万円以下」なら住民税は非課税です。
会社員や派遣写真、パート・アルバイトでの給与収入が当てはまり、その合計の収入(複数社からでもOK)ですね。
基本的に住民税は「所得」から計算されるのですが、所得と収入は違います。
所得とは、「収入から経費を引いた額」のことです。
給与収入による経費は収入額に応じて決められていて、「給与所得控除」と呼ばれており、これが所得の計算が簡単になる理由です。
つまり所得の額でみると、「45万円以下(給与収入 100万円 - 給与所得控除 55万円)」になります。
【給与所得控除の計算方法について】
・給与収入 162.5万円以下 : 55万円
・給与収入 180万円以下 : 収入額 × 40% - 10万円
・給与収入 360万円以下 : 収入額 × 30% + 8万円
・給与収入 660万円以下 : 収入額 × 20% + 44万円
・給与収入 850万円以下 : 収入額 × 10% + 110万円
・給与収入 850万円超 : 195万円
フリーランス(個人事業主)、無職 : 所得45万円以下
・前年の収入が、事業収入や雑所得(ブログ収入など)だけの場合
・「所得 = 収入 - 経費」のため、高収入でも経費が大きければ、所得は少なくなる
・経費とは、収入を得るために使った費用
・失業保険は非課税のため、収入には含まれない
フリーランスや自営業などでの事業収入や、無職での雑所得(アフィリエイト収入など)の場合は、「所得45万円以下」だと住民税はかかりません。
所得とは「収入 - 経費」で、経費とは「収入を得るために使った費用」のことです。
例えば、「収入500万円」で「経費490万円」だったら、「所得10万円」なので住民税は非課税です。
一方で、「収入500万円」でも「経費0円」であれば、「所得500万円」となり住民税を払う必要があります。
給与収入のときと違って、同じ収入額でも経費で所得の額が変わるので、経費を忘れないよう注意しておきましょう。
なお、失業保険の収入は非課税のため、収入の計算には入りません。
※失業保険の受給については、「失業保険の受給の流れとスケジュール【自己都合退職は給付制限あり】」で解説しています。
収入が複数(会社員+副業など): 合計所得が45万円以下
・前年の収入が、給与収入と雑所得などで混ざっている場合
・合計所得 = 給与収入 - 給与所得控除 + 個人での収入 - 経費
・経費は、個人での収入に使った費用のみ計算
少しややこしい組合せですが、「給与収入」と「個人での収入」の複数が混ざっている場合ですね。
副業をした場合などが当てはまり、「合計所得が45万円以下」なら、住民税は非課税です。
例えば、「給与収入70万円(給与所得控除55万円)」、「副業収入30万円」、「副業経費10万円」であれば、合計所得は「35万円(15万円+20万円)」となります。
所得が45万円以下なので、住民税は非課税ということですね。
副業の場合に限らず、「年の途中で会社を退職 → フリーランスで活動」といったケースも当てはまります。
フリーランスなど個人での収入があるときは、しっかり経費をチェックしておきましょう。
【住民税非課税世帯になるには】
❶ 同じ世帯にいる全員すべての住民税が、非課税であること
❷ 配偶者や扶養家族がいる場合、人数に応じた所得額の基準よりも少ないこと
住民税非課税世帯になるには、上記の2つを満たす必要があります。
それぞれチェックしていきましょう。
❶ 同じ世帯にいる全員すべての住民税が、非課税であること
夫や妻、子どもなどと「生計を一にする(生活費が同じ)」場合、住民票を同一にしていますよね。
同じ住民票に入っている「全員すべての住民税が0円」であれば、住民税非課税世帯になります。
あなた自身が住民税非課税でも、世帯内の配偶者(夫 or 妻)や子どもなど誰かひとりでも住民税が課税されている場合は、住民税非課税世帯にはなりません。
世帯全員が「住民税非課税」でなければならないので、注意しておきましょう。
単身者であれば、あなた自身の住民税が非課税なら「住民税非課税世帯」になります。
一人暮らしでも「世帯」の扱いになるので、先ほど紹介した所得の条件さえ満たせばOKですよ。
❷ 配偶者や扶養家族がいる場合は、人数に応じた所得額の基準よりも少ないこと
・単身者 : 所得45万円以下(給与収入なら年収100万円以下)
・配偶者あり : 所得101万円以下(給与収入なら年収156万円以下)
・配偶者+子1人 : 所得136万円以下(給与収入なら年収205万円以下)
・配偶者+子2人 : 所得171万円以下(給与収入なら年収255万円以下)
・配偶者+子3人 : 所得206万円以下(給与収入なら年収305万円以下)
※単身者以外は、「(本人+配偶者+扶養親族数)× 35万円 + 31万円以下」で計算される
単身者が住民税非課税になる条件は、「所得45万円以下(給与収入なら年収100万円以下)」です。
配偶者や扶養親族がいる場合は、その人数が増えるほど、所得の上限も大きくなっていきます。
住民税が非課税となる所得の上限は、「(本人+配偶者+扶養親族数)× 35万円 + 31万円以下」で計算されます。
例えば、「配偶者あり(子なし)」 の場合は「所得101万円以下(給与収入なら年収156万円以下)」で、「配偶者+子1人」なら「所得136万円以下(給与収入なら年収205万円以下)」ですね。
所得額は、先ほど紹介した「住民税が非課税となる年収と所得の目安」から計算できます。
給与収入や雑所得など、あてはめて計算してみてくださいね。
③ まとめ:住民税非課税のメリットを知れば、優遇措置をうまく活用できる
本記事では、「住民税非課税世帯の7つのメリットと、年収の目安」を紹介しました。
ポイントをまとめます。
【住民税非課税世帯のメリット】
❶ 臨時特別給付金の対象になる
❷ 国民健康保険料の軽減措置がある
❸ 国民年金保険料の免除がある
❹ 医療費の軽減措置がある
❺ 0~2歳児の保育料無償化される
❻ 大学無償化制度の対象になる
❼ 各自治体が行う独自の優遇措置がある
【住民税が非課税となる年収と所得の目安(※単身者の場合)】
・会社員、派遣、パート・アルバイト : 年収100万円以下
・フリーランス(個人事業主)、無職 : 所得45万円以下
・収入が複数(会社員+副業など): 合計所得45万円以下
(※市区町村によって金額は多少前後する場合あり)
【住民税非課税世帯になるには】
❶ 同じ世帯にいる全員すべての住民税が、非課税であること
❷ 配偶者や扶養家族がいる場合は、人数に応じた所得額の基準よりも少ないこと
住民税非課税世帯が受けられる優遇措置は、あまり知られていません。
役所や政府は積極的にアナウンスしてくれるわけではないので、あなた自身で知る必要があります。
新型コロナウイルス以降は臨時給付金の対象となることが多く、認知度が広がりました。
制度の活かし方を知れば、収入が少ない中での助けになるはずです。
住民税非課税世帯のそれ自体には、特にデメリットはありません。
7つのメリットを知っておけば優遇措置を受けられるので、うまく活用してくださいね。
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