これって払わなきゃいけないのかな...??
こんにちは、キベリンブログです。
賃貸借契約のルールを定めた民法が改正され、2020年4月から変わっています。
今回は、「ぼったくり防止になる、賃貸契約の法律で改正された内容」について、紹介します。
【本記事の内容】
① 賃貸借契約の民法で改正された、5つのポイント【2020年4月以降の契約】
② 法改正されても、「特約」は例外になる【クリーニング特約に注意】
③ まとめ:賃貸の法改正を押さえて、退去時のぼったくりを回避しよう
管理会社から不当な退去費用の請求に対し、裁判などで敷金を取り返してきました。
経験から、ぼったくりを防ぐための知識を語っていきますね。
① 賃貸借契約の民法で改正された、5つのポイント【2020年4月以降の契約】
ちょっと前になりますが、賃貸借契約のルールを定めている民法が改正(120年ぶり!)されました。
賃貸では借りる側が不利になっているので、借りる人を保護する方向で見直されています。
改正内容のうち、押さえるべき5つのポイントを紹介していきますね。
【賃貸借契約の民法で改正された5つのポイント】
・ポイント1 : 原状回復義務の明確化
・ポイント2 : 敷金返還ルールの明確化
・ポイント3 : 設備の修理に関する見直し
・ポイント4 : 設備の減失による賃料減額の明確化
・ポイント5 : 連帯保証人が負うべき「極度額(上限額)」の明記
ポイント1 : 原状回復義務の明確化
・改正前 : 民法の文言上では、明確にされていなかった
・改正後 : 「通常損耗・経年劣化については原状回復義務を負わない」ことを明記
負担するべき「原状回復の範囲」について、法律上で明記されました。
「通常損耗・経年劣化」は、借りた人が負担する必要はありません。
ここで、通常損耗・経年劣化に「なる例」と「ならない例」を見ていきましょう。
【通常損耗・経年劣化になる例】
・壁紙やフローリングの日焼け
・家具の置き場所による床やカーペットのへこみ
・テレビや冷蔵庫などの後ろの壁の黒ずみ(電気ヤケ)
【通常損耗・経年劣化にならない例】
・引越作業などでつけた擦りキズ
・日常的な通常の清掃を行わなかったことによる汚れや破損
・タバコの臭いや黄ばみ
部屋を退去すると、管理会社(不動産屋)は当たり前のように退去費用を請求してきますよね。
賃貸借契約書に有効となる特約がなく、「通常損耗・経年劣化」の修繕やクリーニングのための費用なら、いっさい払う必要はありません。
ポイント2 : 敷金返還ルールの明確化
・改正前 : 敷金の定義や敷金返還請求権の発生時期に、規定がなかった
・改正後 : 借りた部屋の返還時点で敷金返還の義務が生じ、債務の額を控除した敷金の返還を明確化
契約終了後に「家賃の滞納など払うべき債務がなければ、敷金は返還されるべきもの」として明確化されました。
「保証金」といった名目で払っていた場合でも、敷金と同じ扱いとして返還の義務が発生します。
敷金は「退去クリーニング費用」として不当に引かれて、全額返してもらえないことが多いですよね。
ポイント1の「通常損耗・経年劣化」に当たる費用なら払う必要はなく、敷金は返す義務があります。
ポイント3 : 設備の修理に関する見直し
・改正前 : どんなときに入居者が自分で修理できるのか、規定がなかった
・改正後 : 「修理が必要なことを通知した」「急迫の事情があるとき」なら、入居者でも修理可能
入居者は勝手に設備を修理できませんでしたが、「特定の状況なら修理できる」と改正されました。
具体的な状況をあげると、以下のとおりです。
【入居者でも修理できる状況の具体例】
・エアコンが壊れたため、管理会社(オーナー)に修理を依頼しているが、なかなか修理してくれない
・激しい雨で雨漏りが発生し、生活に支障があるので早く修理したい
こういった状況なら、入居者が自分で修理しても、責任は追及されません。
ただ、まずは「管理会社(オーナー)に修理を依頼すること」が第一ですね。
依頼してもなかなか修理に動いてくれないときは、「くらしのマーケット」などのサイトで業者を探して、あなたから修理を依頼できます。
修理費用の請求も法的に認められているので、後から請求しましょう。
ポイント4 : 設備の減失による賃料減額の明確化
・改正前 : 「賃料の減額を請求できる」という表現が弱かった
・改正後 : 「使用できなくなった部分の割合に応じ、賃料は減額される」と強い内容に変わった
以前からあるルールなのですが、強めの表現内容に変わりました。
「設備の減失」とは、例えば「エアコン」や「シャワー」が壊れて使えなくなったような場合です。
でも、家賃を全額きっちり払っているのに設備が使えないのは、納得いかないですよね。
そこで、修理が完了するまでの間は「賃料の減額」を請求できます。
管理会社や貸主(オーナー)の修理責任は、強くなっていますね。
※具体的な減額の金額など詳細については、「【賃貸】設備不良や故障が直るまで、家賃は減額される【法律改正】」をご覧ください。
ポイント5 : 連帯保証人が負うべき「極度額(上限額)」の明記
・改正前 : 連帯保証人が負う金額の上限は、明確になっていなかった
・改正後 : 連帯保証人が負うべき「極度額(上限額)」を定めなければ、保証契約は無効
連帯保証人になったら、「すべての責任を負わなければならない」と思っていましたよね。
ところが、「具体的な上限額」が賃貸借契約書に書かれていなければ、連帯保証人の契約は「無効」になります。
ただし、「保証会社」は法人なので、このルールには当てはまりません。
すでに「保証会社の利用が必須」とされていることも多いですが、今後はどんどん増えていきそうですね。
② 法改正されても、「特約」は例外になる【クリーニング特約に注意】
「法律の改正もわかったし、知っておけばこれで安心!」と思ったら、注意が必要です。
それは、「特約」があることですね。
特約があれば、例外が認められる【クリーニング特約など】
賃貸契約では、特約を結ぶことを禁止していません。
「賃貸借契約書」に特約が書かれていると、特約の内容は「法律の適用外」になります。
特約が有効となるには条件が必要なのですが、そういった詳しい内容は、専門家でもなければ知らないですよね。
そこで注意しておきたいのが、「クリーニング特約」です。
クリーニング特約で、退去費用を請求してくる
前のパートの「ポイント1」で、「原状回復義務の明確化」が変わったと紹介しました。
繰り返しですが、「通常損耗・経年劣化」による汚れや修繕なら、費用を負担する必要はありません。
ところが、契約書に「クリーニング特約」をこっそり盛り込んで、「通常損耗・経年劣化」の範囲まで費用請求してきます。
契約のときに「特約に気づけるか」がポイントですね。
※契約時の注意点は、「【クリーニング特約】賃貸契約で退去時にぼられる理由と特約の交渉術」で解説しています。
③ まとめ:賃貸の法改正を押さえて、退去時のぼったくりを回避しよう
本記事では、「ぼったくり防止になる、賃貸契約の法律で改正された内容」を紹介しました。
ポイントをまとめます。
【賃貸借契約の民法で改正された5つのポイント】
・ポイント1 : 原状回復義務の明確化
・ポイント2 : 敷金返還ルールの明確化
・ポイント3 : 設備の修理に関する見直し
・ポイント4 : 設備の減失による賃料減額の明確化
・ポイント5 : 連帯保証人が負うべき「極度額(上限額)」の明記
【賃貸契約の特約に関する注意点】
・賃貸契約書に特約が書かれていると、法律の内容とは異なる例外が認められる
・クリーニング特約で、法律では負担する必要のない「通常損耗・経年劣化」の範囲まで請求される
賃貸に関するトラブルは後を絶たず、私も裁判で敷金を取り返しました。
「貸す側」と「借りる側」で知識にどうしても差があるので、不当にぼったくられることが多いです。
そういった問題を受けて、賃貸契約の法律改正は、借りる人を保護する方向に見直されています。
知っておけば何十万も損する確率を防げるので、参考になれば幸いです。
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