こんにちは、キベリンブログです。
任意継続と国保(国民健康保険)は保険料が違いますが、調べ方が難しいですよね。
今回は、「任意継続と国民健康保険の比較と、お得な選び方」について紹介します。
【本記事の内容】
① 任意継続と国民健康保険の比較と選び方【年収400~500万が分岐点】
② 退職後の健康保険の選び方で注意すべき、3つのポイントとは【2022年法改正対応】
③ まとめ:任意継続と国保は年収500万を分岐点に、どっちを選ぶか判断しよう
転職を繰り返す中で、任意継続と国保ともに加入してきました。
経験から、損しない選び方を語っていきますね。
① 任意継続と国民健康保険の比較と選び方【年収400~500万が分岐点】
会社を退職したら、健康保険は「任意継続(退職した会社の健康保険)」か「国民健康保険(市区町村の健康保険)」のどちらかを選びます。
辞めたら収入も減るし、できるだけ保険料は安い方がいいですよね。
でも任意継続と国保(国民健康保険)の保険料を調べてみると、「複雑な数式」だったり「自治体や条件で違う」とか出てきて、結局よくわかりませんでした。
そこで、すぐ目安になる「退職前の年収3パターン」で、任意継続と国保の保険料を紹介します。
具体例として、任意継続は「協会けんぽ(東京)」、国保は「東京都新宿区」の令和6年度分の保険料で比較していきますね。
年収別での任意継続と国民健康保険における、1か月の保険料の比較
退職前の年収 | 任意継続 | 国保 | 比較結果 |
年収250万の場合 | 21,956円(23,640円) | 17,340円(20,947円) | 国保が安い |
年収500万の場合 | 29,940円(34,740円) | 35,436円(42,445円) | 任意継続が安い |
年収750万の場合 | 29,940円(34,740円) | 55,448円(66,219円) | 任意継続が安い |
(※カッコなしの金額は「39歳以下・65歳以上(介護分なし)」の保険料で、カッコ書きの金額は「40~64歳(介護分あり)」の保険料)
年収別で比較した保険料の結果は、上記のとおりです。
新宿区の例で比べてみると、「年収425万円」が国保と任継の保険料がほぼ同額になる "分岐点" となっていました。
選び方は、年収400~500万以上なら任意継続、年収400万以下なら国民健康保険
・年収400~500万円以上 : 任意継続の方が保険料は安くなる
・年収400万円以下 : 国保の方が保険料は安くなる
結論は、「年収400~500万以上なら任意継続、年収400万以下なら国保」を選んだ方がお得です。
なぜなら、保険料が決まるしくみに違いがあるからですね。
任意継続は、年収360万円以上で保険料の上限につきあたる
保険料の比較結果を見てみると、年収500万と年収750万の任意継続の保険料は、同じであることがわかりますよね。
これは、任意継続だと「年収360万(標準報酬30万)」が保険料の上限になるからです。
つまり、年収が360万円を超えてくると、それ以上は保険料が変わらなくなります。
一方で国保は、年収が上がると保険料もどんどん高くなっていきます。
なので年収が400~500万円くらいになると、国保が任意継続の保険料を追い越していくというわけですね。
繰り返しですが、「年収400~500万円が分岐点」であることを覚えておきましょう。
② 退職後の健康保険の選び方で注意すべき、3つのポイントとは【2022年法改正対応】
前のパートでは、「年収400~500万円以上なら任意継続、年収400万円以下なら国保(国民健康保険)」を選んだ方がお得と説明しました。
ただし、それ以外で注意しておくべき「3つのポイント」があります。
【任意継続と国保の選び方で、注意すべき3つのポイント】
❶ 退職理由が「会社都合」or「正当な理由のある自己都合」なら、軽減制度のある「国保」がお得
❷ 扶養家族がいる場合の保険料は、任意継続は「負担なし」、国保は「負担あり」のため要注意
❸ 退職して1年間無職or収入が少ない場合、2年目は「任意継続 → 国保」の切り替えで保険料が安くなる【2022年の法改正対応】
順番に見ていきましょう。
❶ 退職理由が「会社都合」or「正当な理由のある自己都合」なら、軽減制度のある「国保」がお得
・任意継続 : 保険料の軽減制度なし
・国保 : 保険料の軽減制度あり
任意継続は、軽減制度などの特例はありません。
ですが国保には、退職理由によって受けられる「軽減制度」があるんですよね。
軽減制度の対象になるなら、国保を選んだ方が "圧倒的にお得" です。
ここで、軽減の対象になる退職理由を見ておきましょう。
【国保の保険料の軽減対象になる退職理由】
・会社都合(解雇や倒産、契約終了後に次の契約や仕事が紹介されなかった場合など)
・正当な理由のある自己都合(身体の問題や家族看護、通勤が困難な場合など)
上記の退職理由であれば、迷わず「国保」を選びましょう。
軽減対象なら「所得を総額の30%」と見なして保険料を算定してくれるので、かなり安くなります。
※国保の軽減制度の詳しい内容は、「【健康保険】退職後の保険料の軽減制度とは?【退職理由が重要】」をご覧ください。
❷ 扶養家族がいる場合の保険料は、任意継続は「負担なし」、国保は「負担あり」のため要注意
・任意継続 : 扶養家族分の保険料負担なし
・国保 : 扶養家族分の保険料負担あり
扶養家族がいる場合は、任意継続と国保で保険料の「負担あり・なし」に違いがあります。
任意継続は扶養家族の保険料が負担なしのため、"無料" です。
一方で国保は、扶養家族の保険料も負担する必要があります。
なので扶養家族がいる場合は、任意継続を選んだ方が安くなるケースが多くなります。
扶養家族の人数も含めて考える必要があるので、要注意ですね。
❸ 退職して1年間無職or収入が少ない場合、2年目は「任意継続 → 国保」の切り替えで保険料が安くなる【2022年の法改正対応】
・任意継続 : 保険料は退職して2年間変わらない(加入は2年まで)
・国保 : 保険料は前年の所得金額から計算
以前は、任意継続から国保への切り替えは自由にできませんでした。
2022年1月の健康保険法の改正により、希望すれば「任意継続 → 国保」に切り替えが可能になっています。
この改正をうまく使うと、退職後1年間の収入が少なければ、保険料を安くできます。
任意継続の保険料は「退職して2年間同じ金額」なのですが、国保の保険料は「前年の所得金額から計算」されます。
つまり、退職して1年は無職だったり、収入が少ない場合は、2年目から「任意継続 → 国保」に切り替えれば保険料が安くなります。
2022年から使えるようになった方法なので、うまく活用するとお得ですよ。
ちなみに、「国保 → 任意継続(逆の切り替え)」はできないので、注意してくださいね。
※2022年に改正された健康保険法の内容は、「健康保険で改正された3つの内容【任継・傷病・出産】」で紹介しています。
③ まとめ:任意継続と国保は年収500万を分岐点に、どっちを選ぶか判断しよう
本記事では、「任意継続と国民健康保険の比較と、お得な選び方」を紹介しました。
ポイントをまとめます。
【任意継続と国民健康保険の比較と選び方】
・退職後の健康保険の選び方は、「年収400~500万円」が分岐点になる
・「年収400~500万円以上なら任意継続、年収400万円以下なら国保」を選ぶと、保険料が安くなる
・任意継続は、年収360万円以上で保険料の上限につきあたる
【任意継続と国保の選び方で注意すべき3つのポイント】
❶ 退職理由が「会社都合」or「正当な理由のある自己都合」なら、軽減制度のある「国保」がお得
❷ 扶養家族がいる場合の保険料は、任意継続は「負担なし」、国保は「負担あり」のため要注意
❸ 退職して1年間無職or収入が少ない場合、2年目は「任意継続 → 国保」の切り替えで保険料が安くなる【2022年の法改正対応】
私も退職の経験から感じましたが、任意継続と国保(国民健康保険)の保険料の違いを調べても、わかりにくいんですよね。
細かい条件で金額が違うのはわかるけど、目安になる具体的な保険料があれば、比べやすいはずです。
繰り返しですが、結論として「年収400~500万円以上なら任意継続、年収400万以下なら国保」を選ぶと、お得になります。
退職後の健康保険選びは、基本的にこれで判断すればOKです。
それ以外で、注意すべき「3つのポイント」を知っておくと安心です。
2022年の法改正で任意継続は自由にやめられるようになっているので、安くなる条件が合えばうまく活用できますよ。
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