廃止になったら、いくら負担が増えるんだろう...。
こんにちは、キベリンブログです。
"働き控え"の問題などで、配偶者控除の廃止が検討されています。
今回は、「配偶者控除の廃止による増税と、影響する年収の壁」について紹介します。
【本記事の内容】
① 配偶者控除のしくみと、廃止された場合の増税【いくら負担】
② 配偶者控除+社会保険料が影響する年収の壁とは【6段階】
③ まとめ:配偶者控除は近いうちに廃止になる。増税と年収の壁にも要注意
税金・社会保険料の増税の流れは止まりません。
知っておくべき "年収の壁" を、わかりやすく語っていきます。
① 配偶者控除のしくみと、廃止された場合の増税【いくら負担】
配偶者控除は1961年に始まり、専業主婦が多かった時代に作られた制度です。
しかし近年は共働きが増え、働き方による不公平感や、年収の壁を意識した働き控えが社会問題に。
こういった背景から具体的な廃止時期は決まっていないものの、廃止の検討が続いています。
いつ廃止されてもおかしくない配偶者控除について、まずはしくみを確認しておきましょう。
配偶者控除とは、103万円以下の収入で所得控除が受けられる
・配偶者控除 : 38万円の所得控除
・年収条件 : 103万円以下
配偶者控除は、配偶者の給与年収が「103万円以下」の場合、"38万円の所得控除" が受けられる制度です。
所得税や住民税は所得から計算されますが、所得から38万円が差し引かれるため税金が安くなります。
ただ、パートやアルバイトで働く人の収入が増えて配偶者控除の対象外になってしまう、いわゆる "年収の壁" があるわけです。
103万円の年収の壁を超えないようにするため、働き控えの問題が発生しました。
2017年に、対策として "配偶者特別控除" を拡充
・配偶者特別控除 : 最大38万円の所得控除
・年収条件 : 150万円 ~ 201万円以下(年収が上がるほど段階的に控除額が減る)
政府は配偶者控除による働き控えの対策として、2017年(平成29年)に「配偶者特別控除」を拡充しました。
給与年収150万円以下なら、先ほど紹介した配偶者控除と同額の "38万円の所得控除" が受けられます。
年収150万円を超えた場合は、配偶者特別控除がいきなりゼロになるわけではありません。
年収150万円 ~ 201万円までの間は、年収が上がるにつれて "9段階" で控除額が減っていく仕組みです。
年収が201万円を超えると、配偶者特別控除は0円となり対象外となります。
配偶者控除と配偶者特別控除は異なるしくみになっているので、注意しておきましょう。
配偶者控除・配偶者特別控除の廃止で、いくら負担が増えるのか【年間○○円の損】
・年収500万円の場合 : 約7.5万円の増税
・年収700万円の場合 : 約11万円の増税
・年収1,000万円の場合 : 約12万円の増税
配偶者控除と配偶者特別控除が廃止されると、年収が高くなるほど負担は増えます。
年収500万円(配偶者控除38万円)の場合は、年間で「約7.5万円」の増税になります。
75,000円も負担が増えると、けっこう大きいですよね。
近いうちに配偶者控除はなくなる可能性が高いので、受ける影響は知っておきましょう。
配偶者控除の廃止にともなう見直し案
・子育て支援の拡充
・夫婦世帯に対する新たな控除制度の創設
・移転的基礎控除の導入
配偶者控除の廃止にともない、負担増を緩和させるための "見直し案" が検討されています。
可能性として高いのは、「子育て支援の拡充」ですね。
配偶者控除の廃止で、約6千億円の所得税の増収が見込まれています。
その増収分を子育て支援の財源にするとの案がありますが、子どものいない人にとっては増税になるということです。
② 配偶者控除+社会保険料が影響する年収の壁とは【6段階】
前のパートで、配偶者控除・配偶者特別控除について紹介しました。
それぞれ対象外になる "年収の壁" は、「103万円・150万円」です。
でも実際のところ、この年収の壁はあまり意識されていません。
実は「社会保険料」が影響する年収の壁の方が重要になっている側面があるので、年収の壁を掘り下げて紹介しておきます。
配偶者控除+社会保険料が影響する年収の壁とは
年収の壁 | 内容 |
100万円の壁 | 住民税が課税 |
103万円の壁 | 所得税が課税・配偶者控除の対象外 |
106万円の壁 | 勤務条件により社会保険(厚生年金・健康保険)へ加入 |
130万円の壁 | 社会保険の加入必須(家族の扶養から外れる) |
150万円の壁 | 配偶者特別控除の減額開始(38万円から段階的に減額) |
201万円の壁 | 配偶者特別控除の対象外 |
よく言われる年収の壁には、上記の6つがあります。
繰り返しですが、配偶者控除・配偶者特別控除が影響するのは103万円・150万円の壁です。
それよりも重要になっているのが、「社会保険(厚生年金・健康保険)が影響する年収の壁」です。
社会保険料が影響する、"106万円・130万円" の壁
・106万円の壁 : 勤務条件によって、社会保険への加入が必要になる
・130万円の壁 : 勤務条件に関係なく、社会保険の加入必須(家族の扶養から外れる)
「106万円・130万円」の壁は社会保険に影響し、2つの違いは上記のとおりです。
130万円を超えたら "社会保険の加入が必須" となり、家族の扶養にも入れなくなります。
一方で年収が「106万円~130万円」の場合は、勤務条件によって社会保険への加入義務が変わります。
どんな勤務条件なら106万円の壁で社会保険に入らなければならないのか、具体的に見ていきましょう。
106万円の壁で、社会保険への加入が必要になる勤務条件
・月額の賃金が8.8万円以上(残業代、賞与、通勤手当は含まない)
・週の所定労働時間が20時間以上(残業時間は含まない)
・従業員数が101人以上の企業(※2024年10月からは「51人以上の企業」に拡大)
・雇用期間が2か月を超える見込み(契約が2か月でも、更新の可能性があれば見込みあり)
パートやアルバイトなどで上記の条件をすべて満たす場合、年収106万円以上で社会保険の加入が必要になります。
社会保険へ加入する観点でみれば、「130万円の壁と変わらなくなる」ということですね。
近年は社会保険の適用拡大が進められており、2024年10月からは「51人以上の企業」も対象に。
106万円~130万円の年収で、社会保険料により手取りを減らしたくなければ、上記の条件から外れる仕事を選びましょう。
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③ まとめ:配偶者控除は近いうちに廃止になる。増税と年収の壁にも要注意
本記事では、「配偶者控除の廃止による増税と、影響する年収の壁」を紹介しました。
ポイントをまとめます。
【配偶者控除・配偶者特別控除の廃止で、いくら負担が増えるのか】
・年収500万円の場合 : 約7.5万円の増税
・年収700万円の場合 : 約11万円の増税
・年収1,000万円の場合 : 約12万円の増税
【配偶者控除+社会保険料に影響する年収の壁】
年収の壁 | 内容 |
100万円の壁 | 住民税が課税 |
103万円の壁 | 所得税が課税・配偶者控除の対象外 |
106万円の壁 | 勤務条件により社会保険(厚生年金・健康保険)へ加入 |
130万円の壁 | 社会保険の加入必須(配偶者の扶養から外れる) |
150万円の壁 | 配偶者特別控除の減額開始(38万円から段階的に減額) |
201万円の壁 | 配偶者特別控除の対象外 |
配偶者控除は廃止の議論が続き、見直し案を検討している段階です。
廃止は前提とする流れなので、近いうちになくなることは間違いありません。
年収500万円の場合は「約7.5万円」の増税となるため、厳しい負担ですよね。
負担額を緩和するため子育て支援の拡充などが検討されていますが、子どもがいない人は負担が軽くならないかもしれません。
現状は配偶者控除による年収の壁よりも、社会保険料が影響する年収の壁(106万円・130万円)の方が意識されています。
社会保険の適用拡大が進み、年収の壁も変わっていく可能性が高いので、増税にも注意しておきましょう。
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