NISA口座でも負担が増えちゃうのかな...??
こんにちは、キベリンブログです。
金融所得で社会保険料を値上げする案を、厚生労働省が検討しています。
今回は、「株の収入による社会保険料値上げで損する人と、NISAへの影響」について紹介します。
【本記事の内容】
① 株の配当金で値上げが検討される社会保険料とは【不公平の是正】
② 金融所得での国民健康保険料の値上げで、損する人【FIRE民とNISA増税】
③ まとめ:金融所得も税金・社会保険料に狙われる。NISAでも要注意
新NISAにより投資ブームの中、水を差すニュースが報道されています。
検討案でどんな人が損するのか、わかりやすく紹介していきます。
① 株の配当金で値上げが検討される社会保険料とは【不公平の是正】
2024年4月下旬、「金融所得を巡る社会保険料算定の不公平是正、自民PTが検討開始」という記事が報道されました。
金融所得とは、おもに株の配当金などによる収入ですね。
検討を開始した案を簡単にまとめると、「株で得た収入も社会保険料の計算に入れて、保険料を値上げしよう」ということです。
案が出てきた背景も含めて、具体的に見ていきましょう。
株の収入による社会保険料の値上げ案が出てきた理由
・後期高齢者の医療費の4割は、現役世代の保険料の支援金で、現役世代の負担が大きい
・高齢者にかかる医療費は現役世代の4倍以上であるが、高齢者の金融資産は減っていない
・高齢者も負担すべきとの考えから、金融所得も社会保険料に反映させることを提案
なぜ株の収入で保険料が値上げされる案が出てきたかというと、医療費の負担状況にあります。
少子高齢化の加速で、現役世代の負担は増え続ける一方です。
医療費の大部分は高齢者が使っているわけですが、政府の統計データ上では高齢者の金融資産は減っていません。
そこで、「高齢者も保険料を負担すべき」との案が生まれてきました。
株の保有率に目を向けると、"70代以上" が「全体の4割」の株を持っています。
株の収入で保険料を値上げすれば、高齢者の保険料負担につながるということですね。
株の収入は、確定申告する or しないを選べる【不公平の是正】
・確定申告する : 社会保険料の計算に入る
・確定申告しない : 社会保険料の計算に入らない
株を運用する口座は、「特定口座(源泉徴収あり)」と「NISA口座(非課税)」がほとんどです。
特定口座(源泉徴収あり)の場合、「確定申告する」or「確定申告しない」かを選べます。
どちらがお得になるかは、所得税、住民税、社会保険料に影響するので、各個人のケースで異なります。
確定申告をしない方を選んだ場合、所得税・住民税が源泉徴収されるだけなので、株の収入が多くても社会保険料は変わりません。
個人の選び方で保険料に差があるのは、"公平性" に欠けている見方があります。
そのため不公平感のある部分から改正して、確定申告しない場合でも、社会保険料の計算に反映させようというわけです。
株の収入により、値上げが検討される社会保険料
・国民健康保険
・介護保険(40歳以上)
・後期高齢者医療(75歳以上)
株の収入が社会保険料の計算に入ると、3つの保険料が "値上げ" になります。
影響が大きいのは「国民健康保険」で、フリーランスや自営業などの人たちですね。
介護保険料は、40歳から国民健康保険料に加算されます。
後期高齢者医療制度の保険料は、75歳以上の人が対象です。(国民健康保険は脱退)
値上げになる保険料を踏まえた上で、次のパートから影響が大きい人を具体的に見ていきましょう。
NISAも保険料の値上げ対象になってしまうのかどうかも、チェックしていきます。
② 金融所得での国民健康保険料の値上げで、損する人【FIRE民とNISA増税】
株の収入など金融所得が社会保険料の計算に入った場合、「損する人」と「影響しない人」がいます。
具体的にどんな人が当てはまるのかは気になりますよね。
NISA口座の収益でも保険料が値上げされてしまうのかも含めて、順番に解説していきます。
金融所得による保険料値上げで、損する人
・株の配当金で生活している人(FIRE民)
・フリーランス(自営業)+ 株の収入がある人
・定年退職して、金融所得がある人
最も損する人としては、株の配当金で生活している、いわゆる "FIRE民" ですね。
現状では配当所得が高くても、株の収入だけなら健康保険料を最安レベルにすることが可能なので、保険料の計算に含まれることで値上げ幅は大きくなります。
また、国民健康保険に加入しているフリーランス・自営業で株の収入もある場合、株の収入が保険料に反映されます。
株の収入が少額なら影響は少ないですが、高額になるほど保険料の負担が大きくなるので、注意しておきましょう。
金融所得による保険料値上げが、影響しない人
・会社員や派遣社員など、国民健康保険以外に加入している人
・金融所得以外での所得の割合が大きい人
一方で、株の収入があっても影響を受けない人もいます。
会社の健康保険に入っている場合は国民健康保険には加入していないため、保険料計算のしくみが異なります。
給料以外の収入を会社の健康保険料に加えるとなると、会社側が株による収入を把握しなければなりません。
事務手続きなども含め難しい面が多く、除外される可能性が高いです。
また、フリーランスなど本業の所得が株の収入と比べて割合が大きい場合は、あまり影響しません。
すでに本業の所得だけで保険料が高く、所得割合の低い株の収入が加わっても、保険料はそれほど変わらないはずです。
NISAでも、保険料が値上げされるのか【増税】
【改革の方向性】(案)
・NISAなどの非課税所得(NISA口座で管理される金融資産は1,800万円まで非課税)は、保険料においても賦課対象としないことを前提とする必要がある。
上記は、財務省が公開している資料から引用した内容です。
"賦課対象としない" というのは、「NISA口座での株の収入は社会保険料の計算には入らない」ということです。
なので今回の案を見る限りでは、NISAで得た株の配当金などで健康保険料が上がることはなさそうです。
NISA枠(1,800万円)が余っているなら、早めに特定口座の株を売って、NISA口座で買い直した方が良いですね。
新NISAで枠が大幅に増えたのはうれしい改正ですが、いつまで今の制度が維持されるかは分かりません。
「取れるところから取る」というのが "税金・社会保険料" なので、今後のNISAの扱いには気をつけておきましょう。
③ まとめ:金融所得も税金・社会保険料に狙われる。NISAでも要注意
本記事では、「株の収入による社会保険料値上げで損する人と、NISAへの影響」を紹介しました。
ポイントをまとめます。
【株の収入により、値上げが検討される社会保険料】
・国民健康保険
・介護保険(40歳以上)
・後期高齢者医療(75歳以上)
【金融所得による保険料値上げで、損する人】
・株の配当金で生活している人(FIRE民)
・フリーランス(自営業)+ 株の収入がある人
・定年退職して、金融所得がある人
【NISAの収入でも、保険料が値上げされるのか】
・NISAなどの非課税所得(NISA口座で管理される金融資産は1,800万円まで非課税)は、保険料においても賦課対象としないことを前提とする必要がある。
株の配当金収入などの金融所得を社会保険料の計算に入れるかは、まだ検討案の段階で、決まったわけではありません。
でも現状の流れをみると、近い将来に実行される可能性は高そうです。
NISAでの収入は保険料値上げに含めないと思われますが、今後は何らかの制限や負担を強いられる懸念は強いですね。
配当金生活を送るFIRE民や、それを目指す人には影響が大きいので、今後の社会保険料・税金のしくみには注意しておきましょう。
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