払わないとどうなるの?
こんにちは、キベリンブログです。
年金は将来もらえるか不安の中、保険料の未払い時の対応は気になりますよね。
今回は、「国民年金を払わない場合の3段階の取り立てと、使える免除制度」について紹介します。
【本記事の内容】
① 国民年金保険料を払わないと、どうなるのか【3段階の取り立て+差し押さえ】
② 国民年金で利用できる、保険料の免除制度とは【3つのメリットと対象者】
③ まとめ:年金を未払いで放置すると、財産差し押さえの執行あり
物価高に加え、社会保険料の負担は増え続けています。
免除制度を利用すべき理由も、わかりやすく語っていきます。
① 国民年金保険料を払わないと、どうなるのか【3段階の取り立て+差し押さえ】
日本に住んでいる20歳以上~60歳未満の人は、国民年金の保険料を支払う義務があります。
保険料は毎年変わりますが、年間で「約20万円」ほどかかるので、支払いが厳しい状況もあるはず。
未払い期間があると将来もらえる年金が減るだけでなく、障害年金や遺族年金がもらえないケースもあります。
(年金をもらうには、保険料納付期間が10年以上必要)
「どうせ年金はもらえないだろうし、払いたくないから放置でいいや」という感じで保険料を払わないでいると、実は "取り立て" が行われます。
保険料の未払い時はどんな対応が行われるのか、内容を紹介していきますね。
【国民年金保険料を払わなかった場合、行われる対応】
段階❶ : 納付勧奨
段階❷ : 督促
段階❸ : 差し押さえ
未払い時の対応は、"3段階" で行われます。
順番に見ていきましょう。
段階❶ : 納付勧奨
まず1段階目の対応が、「納付勧奨」です。
保険料の支払いを求める通知が、郵送や電話で数回ほど行われます。
納付勧奨は日本年金機構の職員だけでなく、委託された民間事業者も行っています。
(具体的な民間事業者については、日本年金機構のサイトで紹介あり)
なお、2023年5月以降は、訪問して納付勧奨を行うことは廃止しています。
あなたの家に誰かがやって来て直接払うよう言ってきたら、それは "詐欺" なので注意しておきましょう。
段階❷ : 督促
1段階目で数回ほど行われる納付勧奨に応じないでいると、"最終催告状(赤色の封筒)" が送られてきます。
この最終催告状に書かれた期限までに保険料を納付しない場合、2段階目として「督促状」が届きます。
督促状はあなた自身だけでなく、「連帯納付義務者(世帯主および配偶者)」にも送付されます。
なお、督促状の指定期日までに払わない場合は、"延滞金" も発生します。
段階❸ : 差し押さえ
・給料
・預金
・株式などの有価証券
・自動車や不動産 など
督促状が届いても払わない場合、最後の段階として「財産の差し押さえ」が行われます。
具体的には上記のようなもので、現金化しやすく高額なものが差し押さえの対象になります。
年金機構は財産もチェックしているので、隠しておくことはできません。
「連帯納付義務者(世帯主および配偶者)」がいれば、その人たちにも差し押さえが行われます。
保険料を払わなかった場合の対応実績
・最終催告状の送付 : 176,779件
・督促状の送付 : 102,238件
・差し押さえ執行 : 30,789件
(※2023年度 [令和5年度] の実績で、日本年金機構のサイトから引用)
紹介した3段階の対応が実際にどのくらい実施されているかというと、上記のとおりです。
2023年度(令和5年度)の実績では、"3万件以上の差し押さえ" が行われました。
支払いの能力があるなら、差し押さえを受ける前に払っておいた方が良いですね。
「どうしても保険料を払うのは厳しい...。」というときに使える方法を、次のパートで紹介していきます。
② 国民年金で利用できる、保険料の免除制度とは【3つのメリットと対象者】
前のパートで、国民年金の保険料を払わなかった場合にどうなるのかを紹介してきました。
「❶ 納付勧奨 → ❷ 督促 → ❸ 差し押さえ」の3段階の流れで、取り立てが行われます。
とはいえ、年間で約20万円もの保険料を払うのは、経済的に厳しい状況もあるはず。
そういった場合、国民年金では「保険料免除制度」が利用できます。
国民年金の保険料免除制度とは
・経済的に困難な人に対して設けられた制度
・免除になる保険料の額は、4段階で定められている(全額、4分の3、半額、4分の1)
国民年金の保険料免除制度は、経済的に厳しい人向けに対して作られた制度です。
免除される金額は4段階で区分されており、所得に応じて決まります。(所得の基準は後で紹介しますね)
免除制度を利用すると、3つのメリットがある
メリット① : 保険料の取り立てが行われない
メリット② : 将来の年金受給額に加算される(ただし全額納付時よりも低額)
メリット③ : 年金受給に必要な資格期間(10年以上)に加算される
保険料が免除になるのはもちろんですが、それ以外にも3つのメリットがあります。
前のパートで紹介した、"3段階の保険料の取り立て" は行われなくなります。
加えて、保険料を払わなかった場合でも、「将来の年金額」と「受給に必要な資格期間」に加算されます。
例えば "全額免除" で保険料を払わなくても、将来の年金額には "全額納付した場合の2分の1" として反映されます。
また、年金は少なくとも「10年以上の保険料を納めた期間(資格期間)」がないと支給されません。
その資格期間に免除制度を利用した期間も加算されるので、将来もらえなくなるリスクを減らせます。
免除制度を利用できる対象者
対象者❶ : 失業・退職・事業の廃止などをした人
対象者❷ : 前年の所得(1~6月に申請する場合は前々年の所得)が基準以下の人
年金保険料の免除制度の対象になるのは、上記のどちらかに当てはまる人です。
「対象者❶」の "失業した人" は、所得にかかわらず「全額免除」となります。
「対象者❷」の "前年の所得が基準以下の人" については、所得額に応じて4段階の免除額が決まります。
具体的にいくらなのかは以下の通りで、扶養親族の人数でも変わってくるので注意しておきましょう。
【対象者❷における所得の基準と免除額】
免除額 | 所得の基準 |
① 全額免除 | (扶養親族の数+1)× 35万円 + 32万円【単身者なら67万円】 |
② 4分の3免除 | 88万円 + 扶養親族等控除額 + 社会保険料控除額 |
③ 半額免除 | 128万円 + 扶養親族等控除額 + 社会保険料控除額 |
④ 4分の1免除 | 168万円 + 扶養親族等控除額 + 社会保険料控除額 |
※免除制度の具体的な申請方法は、関連記事でまとめています。
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③ まとめ:年金を未払いで放置すると、財産差し押さえの執行あり
本記事では、「国民年金を払わない場合の3段階の取り立てと、使える免除制度」を紹介しました。
ポイントをまとめます。
【国民年金保険料を払わなかった場合、行われる対応】
段階❶ : 納付勧奨
段階❷ : 督促
段階❸ : 差し押さえ
【年金の保険料免除制度を利用する3つのメリット】
メリット① : 保険料の取り立てが行われない
メリット② : 将来の年金受給額に加算される(ただし全額納付時よりも低額)
メリット③ : 年金受給に必要な資格期間(10年以上)に加算される
【年金の保険料免除制度を利用できる対象者】
対象者❶ : 失業・退職・事業の廃止などをした人
対象者❷ : 前年の所得(1~6月に申請する場合は前々年の所得)が基準以下の人
日本の年金制度は少子高齢化によって、財源が不安視されています。
「どうせ年金はもらえない」と不安を抱く人も多く、そうなると年間で約20万円もの保険料は払いたくないですよね。
とはいえ、年金保険料を払わない場合、3段階で取り立てが行われます。
最終的には "財産の差し押さえ" も行われるので、未払いで放置しないよう注意しておきましょう。
会社を退職した場合や、前年の所得が少ない場合は、「保険料免除制度」が利用できます。
利用するメリットは大きいので、対象なら申請を忘れないでくださいね。
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