
繰り上げ受給したいけど、やっぱり損するのかな?
こんにちは、キベリンブログです。
年金の繰上げ受給したくても、支給額が減るのは気になりますよね。
今回は、「年金繰上げ受給のメリットと、判断材料になる選び方」について紹介します。
【本記事の内容】
① 年金の繰上げ受給で、得する人・損する人【減額率と損益分岐点】
② 60歳年金繰上げ受給による、3つのメリット【損益分岐点以外の選び方】
③ まとめ:年金繰上げ受給は、長生きリスク以外の判断材料も要チェック
退職後の生活を支える年金収入は、もらい方が重要です。
判断材料になるメリットと選び方を、わかりやすく語っていきます。
① 年金の繰上げ受給で、得する人・損する人【減額率と損益分岐点】

① 年金の繰上げ受給で、得する人・損する人【減額率と損益分岐点】
年金は通常の場合、65歳から支給されます。
ですが「繰り上げ受給(60~64歳)」「繰り下げ受給(66~75歳)」も可能で、希望の受給開始時期を1ヶ月単位で選べます。
選び方次第で、「得する人・損する人」も出てきます。
いつからもらい始めるべきなのか、選び方に使えるデータなど紹介していきます。
どのくらいの人が、繰上げ・繰下げ受給しているか?
・繰り上げ受給者 : 10.8%
・繰り下げ受給者 : 2.0%
(2022年の国民年金の推移データ)
現状でどのくらいの人が繰上げ受給・繰上げ受給しているかというと、上記のとおりです。
"繰上げ受給" は「約11%」で、9人に1人が65歳になる前から年金をもらい始めています。
一方で "繰下げ受給" は「約2%」で、50人に1人しかいません。
繰上げ受給を選ぶ人よりかなり少ないですが、年々ちょっとずつ増えています。
繰り上げ受給した場合、年金はいくらになるか【月10万円の場合】
・60歳 : 76,000円(24%減)
・61歳 : 80,800円(19%減)
・62歳 : 85,600円(14%減)
・63歳 : 90,400円(9.6%減)
・64歳 : 95,200円(4.8%減)
【1ヶ月あたりの繰上げで、0.4%の減額】
上記は、年金が「月10万円」の場合に、繰上げ受給したときの年齢別での支給額です。
当然のことながら、受給開始時期を早めるほど、1ヶ月あたりの支給額は少なくなります。
1ヶ月繰り上げるごとに、毎月の支給額は「0.4%」が減額されます。
なので、60歳からもらい始めると、1ヶ月あたり "24%減額" ということですね。
繰り上げ受給では、何歳まで得するのか【損益分岐点】
・60歳 : 80歳10ヶ月
・61歳 : 81歳10ヶ月
・62歳 : 82歳10ヶ月
・63歳 : 83歳10ヶ月
・64歳 : 84歳10ヶ月
繰上げ受給した場合、一定の年齢を超えて長生きすると、支給総額では損することになります。
その "損益分岐点" が上記のとおりで、「80代前半」が目安ですね。
例えば、60歳から年金をもらい始めた場合、"80歳10か月" の時点で65歳から受給した場合と支給総額が追いつきます。
つまり、80歳までは繰上げ受給の方がお得ですが、81歳より長生きすると総額では損することになります。
ただし、支給総額だけで得か損かを判断するのは、ちょっと禁物です。
なぜ禁物なのか、その理由を次のパートで深掘りしていきます。
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② 60歳年金繰上げ受給による、3つのメリット【損益分岐点以外の選び方】

② 60歳年金繰上げ受給による、3つのメリット【損益分岐点以外の選び方】
年金の繰上げ受給のしくみを見てきましたが、支給総額を重視すると "損益分岐点" が判断材料になります。
「80代前半」が分岐点なので、男性よりも平均寿命が長い女性の場合、繰り上げ受給すると損になると考えるかもしれません。
ですが繰り上げ受給する場合、支給総額以外のメリットがあります。
損益分岐点以外の判断材料になるので、選び方のひとつとして参考にしてみてください。
【60歳での年金繰上げ受給のメリット】
メリット❶ : 身体が元気なうちに、お金と時間を使える
メリット❷ : 税金や社会保険料が、安く抑えられる
メリット❸ : 年金収入が基準以下なら、住民税非課税世帯の優遇措置がある
メリット❶ : 身体が元気なうちに、お金と時間を使える
年金繰上げ受給の大きなメリットが、「早くもらえること」です。
60歳代は健康でいられる確率が高く、旅行や趣味を十分楽しめます。
ですが70歳を超えると、"健康寿命" に差し掛かります。
健康寿命は平均寿命よりも約10年ほど短く、男性は72歳・女性は75歳です。
60歳から繰上げ受給すれば、お金と時間を有効に使えますよね。
年齢を重ねてから支給額が増えるよりも、早めにもらって使う方が人生は楽しめるのではないでしょうか。
メリット❷ : 税金や社会保険料が、安く抑えられる
年金による収入でも、税金や社会保険料がかかります。
所得税、住民税、健康保険料、介護保険料などですね。
年金の支給額が多ければ、その分だけ税金や社会保険料は高くなります。
繰上げ受給することで年金収入が少なくなれば、税金・社会保険料を安く抑えられます。
とはいえ、繰上げ受給で減額された年金収入だけでは、生活が苦しくなります。
NISAなどの非課税制度で配当収入を得るなど、うまく補える手段もあります。
メリット❸ : 年金収入が基準以下なら、住民税非課税世帯の優遇措置がある
年金収入が「155万円以下(65歳以上)」になると、住民税が非課税となります。
(夫婦二人世帯の場合は、211万円以下)
住民税非課税世帯になれば、自治体からの "優遇措置" が受けられます。
例えば、給付金の支給、健康保険料や医療費の軽減措置、検診の費用免除(自治体による)などですね。
繰上げ受給で1年あたりの年金収入が減ると、住民税非課税世帯になる可能性が高くなります。
優遇措置のメリットはかなり大きいので、あなたの年金額を試算して、住民税非課税世帯の年収条件を満たせるかチェックしてみましょう。
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③ まとめ:年金繰上げ受給は、長生きリスク以外の判断材料も要チェック

③ まとめ:年金繰上げ受給は、長生きリスク以外の判断材料も要チェック
本記事では、「年金繰上げ受給のメリットと、判断材料になる選び方」を紹介しました。
ポイントをまとめます。
【繰り上げ受給した場合の年金額(月10万円の場合)】
・60歳 : 76,000円(24%減)
・61歳 : 80,800円(19%減)
・62歳 : 85,600円(14%減)
・63歳 : 90,400円(9.6%減)
・64歳 : 95,200円(4.8%減)
【繰り上げ受給では、何歳まで得するのか(損益分岐点)】
・60歳 : 80歳10ヶ月
・61歳 : 81歳10ヶ月
・62歳 : 82歳10ヶ月
・63歳 : 83歳10ヶ月
・64歳 : 84歳10ヶ月
【60歳での年金繰上げ受給のメリット】
メリット❶ : 身体が元気なうちに、お金と時間を使える
メリット❷ : 税金や社会保険料が、安く抑えられる
メリット❸ : 年金収入が基準以下なら、住民税非課税世帯の優遇措置がある
少子高齢化が止まらず、年金制度の維持が厳しくなっています。
一方で平均寿命はどんどん長くなっており、"長生きリスク" が叫ばれる時代に。
そんな中でも、損益分岐点だけに縛られない「年金繰上げ受給」には、メリットとなる判断材料があります。
何より身体が元気なうちにお金と時間が使えるのは、人生を楽しむ大きな要素のひとつですよね。
いったん年金繰上げ受給を開始したら、後から取り消すことはできません。
家計と資産状況を踏まえた上で、いつから年金をもらい始めるか判断してみてください。
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