
収入を分散すると、住民税非課税世帯になる方法があるの?
こんにちは、キベリンブログです。
税金のしくみを知ると、収入が増えても住民税がかからない方法があります。
今回は、「収入の分散で、住民税非課税世帯になる方法」について紹介します。
【本記事の内容】
① 税金(住民税)が決まるしくみとは【前年所得の10%】
② 収入の分散で、住民税非課税世帯になる方法【配当・給与・事業・年金】
③ まとめ:収入を分散すれば、年収110円の壁を超えても住民税非課税世帯になれる
住民税非課税世帯になると、優遇措置や給付金などメリットは大きいです。
知っておいて損しない税金の知識を、わかりやすく紹介していきます。
① 税金(住民税)が決まるしくみとは【前年所得の10%】
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① 税金(住民税)が決まるしくみとは【前年所得の10%】
政府が給付金を配る政策の話になると、「住民税非課税世帯」というワードを耳にしますよね。
住民税を払っていない世帯のことで、一般的には収入が少ないとされています。
でもどのくらいの収入だと住民税がかからないのか、実際のところよくわからないですよね。
2025年からは住民税では "年収110万円の壁" などと言われたりしますが、それは給与収入の場合のみ当てはまる壁です。
収入を分散すると、110万円以上稼いでも、住民税がかからないようにできる方法もあります。
具体的な方法に入る前に、まずは住民税のしくみをチェックしておきましょう。
税金は、"所得" から計算される【所得 = 収入 - 控除】
・所得は、収入額とは異なる
・所得 = 収入 - 控除(経費)
まず前提ですが、税金は "所得" から計算(課税)されます。
「所得と収入って、同じ意味じゃないの?」と思われたりしますが、実際には異なるものです。
「所得 = 収入 - 控除」で、"収入から控除を引いたもの" を指します。
控除とは、いわゆる "経費" のことですね。
住民税は、前年所得の10%【後払い方式】
・住民税の金額は、前年所得の約10%(1年遅れの後払い方式)
・住民税は累進課税ではないため、低所得者の方が負担が大きく感じる
勘違いしやすいのですが、住民税は累進課税制度(稼いだ人ほど税額が高くなるしくみ)ではありません。
所得額にかかわらず、「一律10%(市町村民税 6%+都道府県民税 4%)」が課税されます。
もちろん所得が多い人ほど住民税額も高くなるのですが、税率は10%で一律なので、低所得の人の方が負担の大きさを感じやすくなります。
また、住民税は所得税と違って、そのときに稼いだ所得にかかるわけではありません。
「前年の所得」に10%が課税されるしくみなので、"1年遅れの後払い方式" です。
社会人の1年目は住民税がかからなかったり、会社を辞めた後で収入がなくても住民税を請求されるのは、この後払い方式のしくみがあるからですね。
収入があっても所得が45万円以下(ゼロやマイナス含む)、住民税は非課税
使った経費を差し引かずに収入額だけで税金が計算されてしまうと、たとえ利益が出ず赤字でも、税金を払うことになってしまいます。
なので税金(住民税)は、収入から控除(経費)を差し引いた所得から計算されます。
つまり、たとえ収入額が多くても、差し引く控除(経費)も多ければ、所得はゼロ or マイナスとなります。
所得が45万円以下(ゼロやマイナスを含む)であれば、住民税は非課税となり、税金はかかりません。
ここでポイントとなるのが、収入から差し引ける「控除(経費)」の使い方です。
収入の分散によって使える控除が増えるしくみを、次のパートから見ていきますね。
【住民税非課税となる市区町村の "級地" による所得条件の違い】
住民税が非課税となる年収条件は、あなたが住んでいる市区町村の "級地制度" によって3段階で区分されています。
・1級地(大都市): 東京23区、横浜市、大阪市など
・2級地(中核都市): あきる野市、海老名市、泉佐野市など
・3級地(上記以外): 奥多摩町、清川村、豊能町など
本記事では1級地の所得で説明していますが、非課税となる所得条件が「2級地・3級地」の場合はそれぞれ "3.5万円・7万円" ほど下がるので、注意してくださいね。
② 収入の分散で、住民税非課税世帯になる方法【配当・給与・事業・年金】

② 収入の分散で、住民税非課税世帯になる方法【配当・給与・事業・年金】
ここまで、住民税の課税のしくみを紹介してきました。
住民税は「前年所得の10%」がかかる、1年遅れの後払い方式です。
「所得 = 収入 - 控除(経費)」なので、差し引ける控除が多ければ、所得はゼロ or マイナスになります。
所得がゼロ(もしくはマイナス)であれば、"住民税非課税世帯" です。
収入を分散することで、使える控除(経費)が増えるので、収入額が多くても住民税を非課税にできます。
具体的な収入の分散方法と、控除額をチェックしていきましょう。
【収入の分散で、使える控除】
❶ 住民税の非課税限度額 : 45万円(収入の種類を問わず一律)
❷ 給与所得控除 : 65万円(会社員・アルバイトなどの給与収入)
❸ 青色申告控除 : 65万円(フリーランス・個人事業主などの事業所得)
❹ 公的年金等控除 : 110万円(65歳以上での年金収入)
❶ 住民税の非課税限度額 : 45万円(収入の種類を問わず全員一律)
・限度額 : 45万円(収入を問わず全員一律で適用)
・収入例 : 株式での配当収入 45万円、売却での譲渡益 45万円
まず1つ目は、控除とは意味合いがちょっと違うのですが、「住民税の非課税限度額」です。
収入の種類を問わず、一律で適用されます。
所得が "45万円" 以下なら、どんな収入でも住民税はかからず、非課税となります。
収入例を挙げると、株式の配当収入や売買で得た譲渡益が45万円なら、住民税は0円です。
なお、株式は「特定口座(源泉徴収あり)」での運用が一般的ですが、配当収入や譲渡益が発生した時点で、所得が45万円以下であっても「税金20%(所得税15%、住民税5%)」が先に源泉徴収されています。
年間の収入が非課税限度額の範囲内なら、翌年2月~3月に確定申告すると、源泉徴収された税金20%が還付金として取り戻すことが可能です。
【NISA口座での収入は、住民税の非課税限度額の収入・所得には加算されない】
NISA口座は "非課税" のため、NISA口座で得た収益(配当収入・売却での譲渡益)は、収入額・所得額には一切カウントされません。
NISA口座分でいくら収入が増えても、住民税の非課税限度額には影響せず無関係です。
もしNISA口座での投資可能額が余っているなら、「特定口座(源泉徴収あり)」よりも「NISA口座」を先に優先して使うようにしましょう。
❷ 給与所得控除 : 65万円(会社員・アルバイトなどの給与収入)
・控除額 : 65万円(給与収入で適用される控除)
・収入例 : 会社員や派遣社員、アルバイト(スキマバイト含む)での給与収入 65万円
2つ目が「給与所得控除」で、給料による収入を得たときに適用される控除です。
いわゆる会社員などでの経費にあたるものですね。
給与所得控除は "65万円" で、2025年以降から10万円ほど増えました。(2024年以前の給与所得控除は55万円だった)
なぜ年収110万円の壁と呼ばれるかというと、給与収入で「住民税の非課税限度額 45万円」+「給与所得控除 65万円」=110万円になるからです。
収入例を挙げると、会社員や派遣社員の月給・ボーナスも対象です。
スポットワークなどの「スキマバイト」で65万円まで稼げば、給与所得控除分で所得は0円になります。
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❸ 青色申告控除 : 65万円(フリーランス・個人事業主などの事業所得)
・控除額 : 65万円(事業所得で適用される控除)
・収入例 : ブログやYouTube、ウーバーイーツなどの業務委託での所得 65万円
3つ目が「青色申告控除」で、フリーランスなど個人で事業所得を得たときに適用される控除です。
実際にかかった経費に加えて、さらに特別控除が受けられます。
青色申告控除は "65万円" で、事前の申請と帳簿の記帳が必要です。
また、一時的な収入ではなく、事業として一定の継続性が求められます。
収入例を挙げると、ブログやYouTube、ウーバーイーツなどの業務委託での働き方ですね。
「65万円+実際にかかった経費」までの収入なら、青色申告控除分と経費分で所得は0円になります。
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❹ 公的年金等控除 : 110万円(65歳以上での年金収入)
・控除額 : 110万円(年金収入で適用される控除)
・収入例 : 65歳以上の年金収入 110万円
最後の4つ目が「公的年金等控除」で、年金収入を得たときに適用される控除です。
年金受給者への控除なので、おもに高齢者向けですね。
公的年金等控除は "110万円" ですが、64歳以下(繰上げ受給時など)の場合は控除額が60万円に下がります。
年金収入が110万円までなら、所得は0円になります。
収入の分散例と、住民税非課税で得られる年収
分散例① : 給与収入 110万円 + 事業所得 65万円 = 年収175万円でも、住民税非課税
分散例② : 配当収入 45万円 + 給与収入 65万円 + 事業所得 65万円 = 年収175万円でも、住民税非課税
分散例③ : 給与収入 110万円 + 年金収入 110万円 = 年収220万円でも、住民税非課税
紹介した4つの控除を踏まえた上で、収入をどう分散するかを考えてみましょう。
給与収入と事業所得を組み合わせれば、年収175万円まで稼いでも、住民税非課税世帯になれます。(単身世帯の場合)
株式での配当収入があるなら、住民税の非課税限度額の45万円分に振り分けることも可能です。
65歳以上で年金をもらっているなら、給与収入と年金収入の組合せで、年収220万円まで住民税非課税となります。
「非課税となるのは年収110万円まで」と考えがちですが、収入を分散すれば、さらに年収を稼いでも住民税非課税世帯になることが可能です。
住民税非課税世帯のメリットは大きいので、ぜひ収入を分散して稼ぐ方法も考えてみてください。
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③ まとめ:収入を分散すれば、年収110円の壁を超えても住民税非課税世帯になれる

③ まとめ:収入を分散すれば、年収110円の壁を超えても住民税非課税世帯になれる
本記事では、「収入の分散で、住民税非課税世帯になる方法」を紹介しました。
ポイントをまとめます。
【住民税が課税されるしくみ】
・住民税の金額は、前年所得の約10%(1年遅れの後払い方式)
・所得 = 収入 - 控除(経費)
・収入があっても所得が45万円以下(ゼロやマイナス含む)なら、住民税は非課税になる
【収入の分散で、使える控除】
❶ 住民税の非課税限度額 : 45万円(収入の種類を問わず一律)
❷ 給与所得控除 : 65万円(会社員・アルバイトなどの給与収入)
❸ 青色申告控除 : 65万円(フリーランス・個人事業主などの事業所得)
❹ 公的年金等控除 : 110万円(65歳以上での年金収入)
【収入の分散例と、住民税非課税で得られる年収】
分散例① : 給与収入 110万円 + 事業所得 65万円 = 年収175万円でも、住民税非課税
分散例② : 配当収入 45万円 + 給与収入 65万円 + 事業所得 65万円 = 年収175万円でも、住民税非課税
分散例③ : 給与収入 110万円 + 年金収入 110万円 = 年収220万円でも、住民税非課税
"住民税非課税世帯" と一口に言われても、どんな人が対象になるのかよく分からないですよね。
住民税は1年遅れの後払い方式のしくみで、「前年の所得」から決まります。
給与収入だけなら "年収110万円以下" で、住民税は非課税になります。
ですが配当収入や事業所得、年金収入など収入を分散することで、年収110万円を超えても、住民税非課税世帯になれます。
住民税非課税世帯になると給付金の対象になったり、自治体の優遇措置を受けられるなど、大きなメリットがあります。
控除がうまく使える収入の組合せを、ぜひ検討してみてくださいね。
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