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退職金増税で転職のススメ?優遇制度の見直し改正とは

退職金増税で転職のススメ?優遇制度の見直し改正とは

 

お悩み相談
"退職金課税"って話題になったけど、また増税の話!?

 

こんにちは、キベリンブログです。

政府は転職を促すことを理由に、退職金課税を見直そうとしています。

今回は、「退職金課税の税制優遇と、見直しによる増税」について紹介します。

 

【本記事の内容】

① 退職金の3つの税制優遇と、見直される理由【増税の建前】

② 退職金制度は、今後なくなるのか【終身雇用の終わり】

③ まとめ:税制優遇のある退職金は、増税を狙われるので要注意

 

時代の流れとともに、退職金制度も変わりつつあります。

現状のしくみを踏まえた上で、今後の改正を語っていきます。

 

① 退職金の3つの税制優遇と、見直される理由【増税の建前】

① 退職金の3つの税制優遇と、見直される理由【増税の建前】

① 退職金の3つの税制優遇と、見直される理由【増税の建前】

 

2025年3月、政府は「退職金課税」について見直すことを言及しました。

いわゆる "サラリーマン増税" を匂わす発言ですね。

 

政府が "退職金増税" をねらう理由とは

なぜ退職金課税を見直すかというと、「雇用流動化の阻害」を理由にしています。

政府は日本の生産性が上がらない問題を解消するために、収益を上げられる会社への "転職" を促進させる方針で動いています。

 

2025年4月には、失業保険の給付制限が1ヶ月に短縮されました。

教育訓練を受ければ給付制限がなくなる改正も行うなど、転職しやすい制度を整えています。

 

そんな中で退職金の課税制度は、通常の給与収入よりも優遇されており、勤続年数も影響しています。

現状はどんなしくみになっているのか、すこし掘り下げて見ていきましょう。

 

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退職金が通常の給与と比べて、税制優遇されている3つの点

・退職所得の金額 = (収入金額 - 退職所得控除額)× 1/2

・総合課税ではなく、分離課税方式(他の所得と合算せず、分離して税率5%~45%を適用)

・社会保険料がかからない

 

退職金が毎月の給料やボーナスに比べて税金面で優遇されている点は、上記の3つです。

収入金額がそのまま課税されるわけではなく、「退職所得控除額(後で説明しますね)」が差し引かれ、さらに "2分の1(半額)" の金額で税額計算されます。

 

また、"分離課税" になっているため、退職所得だけで税率(5%~45%の累進課税)が決まります。

通常の給料・ボーナスは総合課税であり、他の所得をすべて合算して課税される違いがあります。

 

さらに、最も負担の大きかった社会保険料がかかりません。

退職金は引かれるものが少なく、優遇されていることが分かると思います。

 

勤続20年超で優遇される、退職所得控除額【見直し改正ポイント】

・勤続20年以下 : 勤続1年あたり、40万円控除

・勤続20年超~ : 勤続1年あたり、70万円控除

→ 転職せず1つの会社で20年超いると優遇 → 雇用流動化の妨げに?

 

税金の計算から差し引かれる "退職所得控除額" は、上記のとおり「20年」を境にして計算されます。

勤続年数を元に計算されますが、1つの会社で20年を超えて働き続けると、1年あたりの控除額が大きくなります。

 

控除額が大きいほど税金は安くなるので、税制面で優遇されることになります。

政府は「この20年超の税制優遇が、雇用の流動化(転職)を阻害している!」と唱えたわけです。

 

多くの人はこの税制優遇を知らないし、転職しない原因とするには強引と思われますが、取れるところから増税を狙っています。

"20年超の優遇制度" に限らず、先ほど紹介した税制優遇の3つの点も増税に向かう可能性があるので、注意しておきましょう。

 

【参考】退職金2,000万円・38年勤務で、転職なし or ありでの税額の比較

・転職なし : 0円(退職所得控除額が2,000万円を上回るため、課税対象なし)

・転職あり : 約36万円(所得税と住民税の合計)

 ※「転職あり」では転職1回の例で、1社目で20年・2社目で18年勤務し、退職金は1,000万円ずつで計算

 

現状の退職金の課税制度で「転職なし・あり」の場合、具体例で税額の違いを比べると、上記のとおりです。

具体例では、退職金2,000万円・38年勤務(60歳で退職)した場合の比較です。

 

「転職なし」の場合は、退職所得控除額が "2,060万円" で退職金2,000万円を上回るため、税金はかかりません。

一方で「転職あり」の場合では、退職所得控除額が2社合計で "1,520万円(800万円+720万円)" となり、税金は「約36万円(所得税と住民税の合計)」かかることになります。

 

② 退職金制度は、今後なくなるのか【終身雇用の終わり】

② 退職金制度は、今後なくなるのか【終身雇用の終わり】

② 退職金制度は、今後なくなるのか【終身雇用の終わり】

 

前のパートで、退職金課税の見直しによる増税のポイントを見てきました。

すぐ改正されるわけではありませんが、段階を踏みながら、増税に向けて見直される流れは避けられません。

 

そんな退職金増税の議論の中で、「そもそもウチの会社は退職金制度がない」という声も。

退職金制度は日本特有で、外資系企業にはないことがほとんどです。

 

ここで "今後の退職金制度" はどうなるのかも、参考に触れておきますね。

 

富士通は、新卒一括採用を廃止

富士通は「新卒一括採用」を廃止し、通年採用の導入を発表しています。

他にもユニクロなど大手企業では、すでに新卒一括採用を廃止している企業も。

 

新卒や中途などを区別せず、職務内容に応じた "ジョブ型雇用" の定着を図る方針です。

これまでの年功序列ではなく、成果主義で給与体系が決まります。

 

人材を確保するしくみから雇用形態まで、制度は変わっていく過渡期にあります。

昔のような日本特有の制度から、欧米型の雇用制度に近づきつつある流れです。

 

終身雇用の崩壊とともに、退職金制度もなくなる流れ

今の日本の企業には、成果を出さない社員を定年まで面倒を見る体力はありません。

成果主義へシフトする流れが進み、終身雇用制度はすでに崩壊しています。

 

終身雇用と退職金制度は、"ただ居るだけ" の社員を生み出す要因にもなっていました。

「働かないおじさん」の存在など、代表的な事例ですよね。

 

生産性の上がらない問題が浮き彫りとなり、退職金制度をなくす流れが進んでいます。

 

退職金をなくす代わりに、給与への反映も

先ほども触れたユニクロは、新卒一括採用を止め、退職金制度はありません。

その代わり、他の一般的な企業と比べて給与水準は高めです。

 

能力があれば責任あるポストを任され、給与にも反映されます。

逆に長く働いたからと言って給料が上がるわけではないので、長年同じ会社で働くこと自体にメリットはなく、離職率も高くなります。

 

生産性を高めるための雇用流動化は、今後は避けられません。

成果を出せなければ「給料も下げられる」ことも増えていくので、会社に依存しないスキルを持つことが重要ですね。

 

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③ まとめ:税制優遇のある退職金は、増税を狙われるので要注意

③ まとめ:税制優遇のある退職金は、増税を狙われるので要注意

③ まとめ:税制優遇のある退職金は、増税を狙われるので要注意

 

本記事では、「退職金課税の税制優遇と、見直しによる増税」を紹介しました。

ポイントをまとめます。

 

【退職金が通常の給与と比べて、税制優遇されている3つの点】

・退職所得の金額 = (収入金額 - 退職所得控除額)× 1/2

・総合課税ではなく、分離課税方式(他の所得と合算せず、分離して税率5%~45%を適用)

・社会保険料がかからない

 

【勤続20年超で優遇される、退職所得控除額(見直し改正ポイント)】

・勤続20年以下 : 勤続1年あたり、40万円控除

・勤続20年超~ : 勤続1年あたり、70万円控除

→ 転職せず1つの会社で20年超いると優遇 → 雇用流動化の妨げに?

 

現状の退職金課税では、同じ会社に長く勤めるほど優遇されるしくみです。

転職せず20年を超えて勤務すると、退職金にかかる税金が安くなります。

 

この優遇のしくみが「転職を阻害している!」と強引に理由をつけて、見直しを考えています。

加えて、退職金の税制は通常の給与よりも優遇されており、そこも改正して増税する可能性もあり得ます。

 

すぐの改正は考えにくいですが、段階的に時間をかけて増税に向かっていくと思われます。

今後は会社から退職金制度そのものがなくなっていく流れではありますが、税金のしくみは知っておくと安心なので、本記事を参考にしてみてください。

 

 

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