
こんにちは、キベリンブログです。
年収の壁の引き上げが話題ですが、いくつも壁があって分からないですよね。
今回は、「年収155万円の壁・211万円の壁と、住民税非課税になるメリット」について紹介します。
【本記事の内容】
以前からの年収の壁は、いくつかはすでに変わっています。
知っておくべき非課税年収を、わかりやすく語っていきます。
① 年収155万円の壁・211万円の壁とは【年金の住民税非課税】

① 年収155万円の壁・211万円の壁とは【年金の住民税非課税】
年収の壁と聞くと、「103万円の壁」や「106万円の壁」などは昔からよく言われますよね。
それぞれ "所得税" と "社会保険料" に関する壁ですが、103万円の壁はすでに変わり、106万円の壁も2026年に撤廃されます。
年収の壁が変わりつつある中で、「155万円の壁」「211万円の壁」というものを知っていますか?
この2つの壁は、"年金にかかる税金" の壁です。
「年金でも税金が取られるの!?」と思うかもしれませんが、年金収入にも税金がかかります。
年金の壁の中身について、具体的に見ていきましょう。
155万円の壁・211万円の壁とは【単身・夫婦での年金の壁】
・155万円の壁 : 「単身者」が年金で年収155万円を超えると、住民税がかかる
・211万円の壁 : 「配偶者あり」の世帯主が年金で年収211万円を超えると、住民税がかかる
※65歳以上が条件
「155万円の壁」「211万円の壁」は、いわゆる "年金の壁" です。
それぞれ「単身者」と「配偶者あり(夫婦2人世帯)」の場合で壁の金額が異なり、年金収入で壁を超えると住民税がかかります。
年収155万円を1ヶ月あたりの月収でみると、「約13万円」ほど。
国民年金だけの場合は、満額受給でも1ヶ月あたり「約6.9万円」なので、住民税はかかりません。
夫婦2人世帯では単身者よりも壁の金額が56万円ほど引き上げとなり、世帯主の年金収入は「211万円」まで住民税がかからなくなります。
ただし、配偶者の年金収入が「155万円以下」でなければならないので、注意しておきましょう。
【住民税非課税となる市区町村の "級地" による年収条件の違い】
住民税が非課税となる年収条件は、あなたが住んでいる市区町村の "級地制度" によって3段階で区分されています。
・1級地(大都市): 東京23区、横浜市、大阪市など
・2級地(中核都市): あきる野市、海老名市、泉佐野市など
・3級地(上記以外): 奥多摩町、清川村、豊能町など
本記事では1級地の年収で説明していますが、非課税となる年収条件が「2級地・3級地」の場合はそれぞれ "3.5万円・7万円" ほど下がるので、注意してくださいね。
年金の壁は、給与収入の年収の壁よりもゆるい
・110万円の壁 : 「給与収入」で年収110万円を超えると、住民税がかかる
・155万円の壁 : 「年金収入」で年収155万円を超えると、住民税がかかる
住民税がかかる年収の壁として、以前は「100万円」の壁がありました。
2025年度から税制改正により10万円引き上げとなり、今は「110万円の壁」に変わっています。
この110万円の壁は、"給与収入による住民税の壁" であり、110万円を超えると住民税がかかります。
会社員や派遣社員、パート・アルバイトで働いた場合など、勤務先から支給される給料による収入ですね。
一方で、"年金収入による住民税の壁" は、先ほども紹介したとおり155万円を超えると住民税がかかります。
つまり、働いて得た給与収入よりも、45万円ほど年金収入が増えても住民税はかからず、壁の金額はゆるい設定にされています。
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110万円の壁と155万円の壁の差は、控除額の違い
・給与所得控除 : 65万円(※最低額のケース)
・公的年金等控除 : 110万円
・住民税非課税限度額 : 45万円
ちょっと難しい話になりますが、給与収入と年金収入での住民税の壁の差は、「控除額の違い」にあります。
控除とは "収入から差し引ける金額" のことで、控除額が大きいほど税金は安くなります。
給与収入の場合、「給与所得控除」として "65万円(最低額のケース)" を給与収入から差し引けます。
年金収入の場合は、「公的年金等控除」として "110万円" を年金収入から差し引けます。
住民税が非課税となる所得の限度額は、"45万円" です。
なので「65万円 + 45万円 = 110万円」が給与収入での住民税の壁、「110万円 + 45万円 = 155万円」が年金収入での住民税の壁になるしくみです。
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② 年金受給者が住民税非課税世帯になるメリット【3つの優遇措置】

② 年金受給者が住民税非課税世帯になるメリット【3つの優遇措置】
前のパートで紹介したとおり、「155万円の壁」「211万円の壁」とは "年金収入による住民税の壁" です。
それぞれ「単身者」と「配偶者あり(夫婦2人世帯)」の場合での年収額を示しており、それを超えると住民税がかかります。
この壁を超えなければ、いわゆる「住民税非課税世帯」になるわけです。
住民税非課税世帯は給付金の対象になるなど、いろんなメリットがあります。
ここでは年金を受給している高齢者にとって、特にメリットとなる優遇措置を紹介しておきます。
【年金受給者が住民税非課税世帯になるメリット】
メリット❶ : 介護保険料が半額以上も安くなる
メリット❷ : 高額療養費制度が減額になる
メリット❸ : 高額介護サービス費が減額になる
メリット❶ : 介護保険料が半額以上も安くなる
40歳以上になると、収入がゼロでも介護保険料を負担しなければなりません。
住民税非課税世帯になると軽減措置があり、介護保険料がかなり安くなります。
例えば、非課税世帯でない場合は、低所得でも「約7~8万円(年額)」ほどかかります。
住民税非課税世帯になると、介護保険料は「約2~4万円(年額)」ほどに減額されます。
半額以上も介護保険料が安くなる計算です。
必ずかかる社会保険料の負担が軽減されるのは、住民税非課税世帯の大きなメリットの1つです。
メリット❷ : 高額療養費制度が減額になる
高額療養費制度とは、「医療費が決められた上限額を超えると、超えた金額が後から支給される」制度です。
上限額は、年収(所得)と年齢で変わるしくみです。
非課税世帯でない場合は、自己負担額として「約8.7万円」ほどかかります。
住民税非課税世帯になると、自己負担額は「8,000円 ~ 約3.5万円」に減額されます。
高齢になるほど、医療費はどうしてもかかってきます。
そんな状況で自己負担額が軽くなるのは、年金受給者にとってリスクは小さくなりますね。
メリット❸ : 高額介護サービス費が減額になる
高額介護サービス費とは、「介護保険サービス利用時に決められた上限額を超えると、超えた金額が後から支給される」制度です。
先ほどのメリット❷の "高額療養費制度" の介護版ですね。
非課税世帯でない場合は、自己負担額として「約4.4万円」ほどかかります。
住民税非課税世帯になると、自己負担額は「約2.4万円」に減額されます。
後期高齢者(75歳以上)にもなれば、介護が必要になる状況は避けられなくなってきます。
約半額程度まで負担が軽減されるのは、介護サービス利用時に必ず助かるはずです。
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③ 年金収入を住民税非課税ラインに抑える方法【繰上げ受給と注意点】

③ 年金収入を住民税非課税ラインに抑える方法【繰上げ受給と注意点】
年金収入で「155万円の壁」「211万円の壁」を超えなければ、住民税はかかりません。
住民税非課税世帯になれるので、前のパートで紹介したような優遇措置が受けられます。
「給付金がもらえたりするし、非課税世帯になる年金収入に抑えたい!」と思ったりしますよね。
でも年金は調整が難しく、特に厚生年金の場合は給料から自動的に天引きされるため、会社員には難しいのが実情です。
そんな中で年金収入を住民税非課税ラインに抑えるには、どうすればいいのでしょうか?
その方法と、注意点について触れておきますね。
年金収入を住民税非課税ラインに抑える方法
・年金を「繰上げ受給」して、1年あたりの支給額を減らす
・繰上げ受給による減額率は、1ヶ月早めるごとに0.4%減額される
・60歳から年金をもらい始めると、0.4% × 60ヶ月 = 24%の減額
年金収入を抑えるには、「年金の繰上げ受給」をする方法があります。
年金は原則として65歳から支給されますが、希望すれば「60歳 ~ 65歳」の間に繰り上げて受け取ることが可能です。
繰上げ受給すると、早めた分だけ年金は減額に。
減額率は1ヶ月単位で決められており、1ヶ月早めるごとに「0.4%」減額されます。
60歳になった時点から年金をもらい始めたら、24%ほど年金が減ります。
例えば、年金が月15万円だと「155万円の壁」を超えますが、60歳から繰上げ受給すれば壁を超えず、住民税非課税世帯となります。
いったん繰上げ受給を決めたら、途中からの変更は不可
「155万円の壁・211万円の壁とか関係なく、身体が元気なうちに年金を早くもらいたい!」と思ったりもしますよね。
平均寿命は80歳を超えていても、身体が動く健康寿命は70歳台であり、もっと短くなります。
繰上げ受給で要注意なのが、いったん繰上げ受給したら、途中からの変更は一切できません。
1ヶ月あたり0.4%減額された支給額が、一生続くことになります。
住民税非課税世帯に執着するあまり、収入が減って生活が苦しくなってしまったら、本末転倒です。
後ほど収入を穴埋めする代替案を紹介していきますが、よく考えてから繰上げ受給するかを判断しましょう。
65歳になるまでは、公的年金等控除額は少なくなる【105万円の壁に】
・65歳以上の公的年金等控除額 : 110万円【65歳以上の住民税非課税ライン:155万円】
・65歳未満の公的年金等控除額 : 60万円【65歳未満の住民税非課税ライン:105万円】
「155万円の壁」は年金収入による住民税の壁ですが、繰上げ受給時は加えて注意が必要です。
なぜなら、この壁の年収額は "65歳以上" が条件であり、「65歳未満での年金受給時は控除額が下がる」からですね。
65歳になるまでは「105万円の壁」となり、金額が引き下がって厳しくなります。
繰上げ受給しても年金収入が105万円を超えると、65歳までは住民税非課税世帯になれないので、注意しておきましょう。(65歳以降はOK)
住民税非課税で収入を増やすなら、給与収入や金融所得で増やす
・給与収入 : 65万円までパートやアルバイトで稼げば、年金収入があっても住民税非課税世帯になる
・金融所得 : NISA口座や特定口座で得た株式の配当収入などは、所得にカウントされず住民税非課税世帯になる
年金繰上げ受給で155万円の住民税非課税ラインに抑えられても、収入が減ってしまうのは困りますよね。
そういった場合は、収入を得る方法を分散することで、住民税非課税世帯のまま所得を増やす方法があります。
例えば、年金収入とは別にパートやアルバイトで給与収入を得れば、65万円までは住民税非課税世帯になります。
つまり、「年金収入155万円 + 給与収入 65万円 = 年収220万円」まで、住民税は非課税です。
給与収入以外でも、「NISA口座」や「特定口座(確定申告不要の源泉徴収あり)」による株の配当収入などは、所得にカウントされません。
年収の壁に影響を与えることなく収入を増やせるので、うまく活用していきましょう。
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④ まとめ:年金収入での住民税の壁は、給与収入とは異なる。非課税世帯は優遇措置あり

④ まとめ:年金収入での住民税の壁は、給与収入とは異なる。非課税世帯は優遇措置あり
本記事では、「年収155万円の壁・211万円の壁と、住民税非課税になるメリット」を紹介しました。
ポイントをまとめます。
【155万円の壁・211万円の壁とは(単身・夫婦での年金の壁)】
・155万円の壁 : 「単身者」が年金で年収155万円を超えると、住民税がかかる
・211万円の壁 : 「配偶者あり」の世帯主が年金で年収211万円を超えると、住民税がかかる
※65歳以上が条件
【年金受給者が住民税非課税世帯になるメリット】
メリット❶ : 介護保険料が半額以上も安くなる
メリット❷ : 高額療養費制度が減額になる
メリット❸ : 高額介護サービス費が減額になる
【年金収入を住民税非課税ラインに抑える方法】
・年金を「繰上げ受給」して、1年あたりの支給額を減らす
・繰上げ受給による減額率は、1ヶ月早めるごとに0.4%減額される
・60歳から年金をもらい始めると、0.4% × 60ヶ月 = 24%の減額
繰り返しですが、「155万円の壁」「211万円の壁」は、"年金収入による住民税の壁" です。
それぞれ「単身者」と「配偶者あり(夫婦2人世帯)」の場合での年収額を示しており、それを超えると住民税がかかります。
壁を超えなければ住民税非課税世帯となり、特に年金受給者にとっては大きなメリットがあります。
介護保険料や高額療養費制度などで優遇措置が受けられ、高齢者にとって負担は軽くなります。
壁を超えないよう年金収入を抑えるなら、「年金繰上げ受給」を選ぶのも1つの方法です。
収入が減る分の代案としては、給与収入や金融所得で穴埋めすると非課税世帯を維持できるので、本記事の内容をうまく活かしてみてください。
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