
・・・加給年金って、なに??
こんにちは、キベリンブログです。
2025年に年金制度改正法が成立して、今後の年金が変わっていきます。
今回は、「加給年金の改正は、"改悪" or "改善" か」について紹介します。
【本記事の内容】
① 加給年金のしくみと、改正される支給額とは【2028年から改悪か】
② 2026年以降、年金制度で変わること【6つの改正】
③ まとめ:配偶者の加給年金は、2028年から減額されるので要注意
2025年は、5年ごとの年金制度改正の年です。
あまり知られていない加給年金のしくみを、わかりやすく語っていきます。
① 加給年金のしくみと、改正される支給額とは【2028年から改悪か】

① 加給年金のしくみと、改正される支給額とは【2028年から改悪か】
2025年の年金制度改正では、いくつかの改正法が成立しました。
その中で見直されたのが、「加給年金」です。
加給年金と言われても、どんな年金なのかよく分からないですよね。
加給年金のしくみを押さえつつ、果たして "改悪" になるのか、チェックしていきましょう。
加給年金とは【家族手当の位置づけ】
加給年金は、年金をもらい始める65歳のときに、「配偶者」or「子ども」がいると通常の年金に上乗せして支給されます。
簡単にいうと、"家族手当" のようなものですね。
ただし、配偶者や子どもがいるだけでもらえるわけではありません。
加給年金の支給には、一定の要件を満たす必要があります。
加給年金の2つの支給要件【ともに満たす必要あり】
要件❶ : 厚生年金に20年以上加入していること
要件❷ : 65歳未満の配偶者 or 18歳未満の子がいること(※同一生計が条件)
加給年金の支給には上記の2つの条件があり、ともに満たさなければなりません。
厚生年金の加入期間が20年以上必要なので、会社員として勤めた期間が長ければ対象になります。
もう一方の要件である「65歳未満の配偶者」or「18歳未満の子」については、年齢制限があります。
配偶者が65歳になった、あるいは子が18歳になった時点で、加給年金の支給はストップします。
配偶者(夫または妻)の条件を言い換えれば、"年下であること" とも言えますね。
2025年度の加給年金の支給額(年額)
・配偶者(65歳未満)がいる場合 : 41万5,900円 (※特別加算を含む)
・子ども(18歳未満)がいる場合 : 1人目・2人目 → 23万9,300円、3人目以降 → 7万9,800円
2025年時点での加給年金の支給額は、配偶者の場合でみると年間「41万5,900円」で、この金額が年金に上乗せされます。
月額でみると "約3.5万円" も増えるので、けっこう大きいですよね。
なお、子どもに関しては2人目までは「23万9,300円」なのですが、3人目以降は「7万9,800円」に減額されます。
子どもが多い人にとっては、この減額はちょっと厳しいですよね。
そしていよいよ本題ですが、この加給年金の支給額が「2028年度」から改正に。
人によって "改悪" or "改善" となるかが変わるので、詳しく見ていきましょう。
2028年4月から改正される、加給年金の支給額【改悪 or 改善】
・配偶者(65歳未満)がいる場合 : 36万7,200円(-4万8,700円の減額で、"改悪" に)
・子ども(18歳未満)がいる場合 : 28万1,700円(+4万2,400円の増額で、"改善" に)
※子どもは3人目以降も「一律増額」となる改善あり
2028年度からの加給年金の支給額は、上記のとおりです。
「配偶者(65歳未満)」or「子ども(18歳未満)」の条件によって、"減額" or "増額" となります。
配偶者の場合は、「約5万円の減額」で、"改悪" となる改正に。
一方で子どもの場合は、「約4万円の増額」で、"改善" となる改正となります。
また、子どもは3人目以降は「7万9,800円」に減額されていましたが、2028年度からは「28万1,700円」に "一律増額" されます。
少子化対策を反映させた改正ですね。
2028年度の改正前から加給年金をもらっていた場合は、減額されない
配偶者の分で加給年金をもらっているけど、「2028年から支給額が36万7,200円に減らされちゃうの!?」と気になったりしますよね。
改正前から加給年金を受け取っていた人については、2028年度になっても減額されません。
配偶者が65歳になるまでは、それまでの金額が支給されます。
確かに高齢者が年金の支給額を減らされると生活が厳しくなる面もあるので、その点は配慮した改正になっています。
② 2026年以降、年金制度で変わること【6つの改正】

② 2026年以降、年金制度で変わること【6つの改正】
ここまで、加給年金のしくみと2028年度からの支給額の改正について紹介してきました。
2025年に成立した年金制度改正法は、加給年金以外にも変わることがあります。
そこで2026年以降に年金制度で変わる "6つの内容" を、まとめて紹介しておきます。
年金受給者だけでなく、現役世代にも影響が大きい内容もあるので、ぜひチェックしてみてください。
【2026年以降、年金制度で変わる6つの改正】
改正❶ : 働く高齢者の満額年金(在職老齢年金)を増額【2026年4月】
改正❷ : "年収106万円の壁" を撤廃【2026年10月】
改正❸ : iDeCo加入可能年齢を69歳以下に引き上げ【2027年1月】
改正❹ : 高所得の会社員の保険料(標準報酬月額)を引き上げ【2027年9月】
改正❺ : 遺族厚生年金の男女格差見直しで、無期給付が有期給付に【2028年4月】
改正❻ : 加給年金の支給額の見直し【2028年4月】
改正❶ : 働く高齢者の満額年金(在職老齢年金)を増額【2026年4月】
年金をもらっている高齢者が働く場合、一定以上の収入で年金が減額されるしくみがあります。(在職老齢年金制度)
2025年度は、年金+賃金の基準額が「月収51万円」を超えると年金は減額されます。
2026年度以降、その基準額が「月収62万円」へ11万円の引き上げとなり、約20万人が満額で受け取るようになります。
高齢者の就労促進が狙いですが、現役世代の負担が増え続ける中でも、高齢者の収入が増える改正です。
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改正❷ : "年収106万円の壁" を撤廃【2026年10月】
今回の大きな改革として挙げられているのが、"年収106万円の壁" の撤廃です。
壁の撤廃と聞くと、「手取りが増えるんじゃないの?」と思うかもしれませんが、手取りが減る改正です。
社会保険の加入要件の1つに、年収106万円以上という条件があるのですが、それが「2026年10月」に撤廃されます。
年収106万円未満でも、他の要件を満たすと社会保険に加入しなければならなくなるので、社会保険料で負担が増えることになります。
また、企業規模の加入要件(51人以上の企業)についても、「2027年10月」から段階的に緩和へ。
残っている加入要件は「週20時間以上の労働時間」で、新たな壁になりそうです。
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改正❸ : iDeCo加入可能年齢を69歳以下に引き上げ【2027年1月】
iDeCoは、公的年金に上乗せできる私的年金制度で、個人型確定拠出年金と呼ばれるものです。
現行の加入可能年齢は64歳以下ですが、"69歳以下" に引き上げられます。
65歳以降も働く人が増える中で、老後生活に備えたい人に向けた改正です。
iDeCoはNISAと違って、「60歳まで資産を引き出せない」ので、その点は注意が必要です。
改正❹ : 高所得の会社員の保険料(標準報酬月額)を引き上げ【2027年9月】
月収66.5万円(年収798万円)以上を稼いでいる会社員は、厚生年金の保険料が上がります。
なぜこの月収ラインかというと、保険料の上限額につき当たっている人が対象になっています。
引き上げの対象になる人は、全体の「約10%」です。
2027年9月から引き上げの予定で、"月額9,000円" ほど現役世代の負担が増えます。
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改正❺ : 遺族厚生年金の男女格差見直しで、無期給付が有期給付に【2028年4月】
亡くなった人の遺族がもらえる遺族厚生年金は、男女による支給の違いが問題になっています。
例えば、男性は55歳以上しか受給できませんが、女性は何歳でも受給できます。
「再婚しない限り、ずっともらえる」というしくみも、再婚を阻害する要因との声も。
無期給付を有期給付にするなど、2028年度から男女格差の是正に向けて、段階的に改正されていきます。
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改正❻ : 加給年金の支給額の見直し【2028年4月】
これは前のパートで紹介した内容ですが、2028年度から加給年金の支給額が改正されます。
加給年金とは、「65歳未満の配偶者」or「18歳未満の子」がいる場合に、年金に上乗せで支給されるものです。(※厚生年金に20年以上の加入していることが条件)
配偶者に対する加給年金は、約5万円ほど減額されます。
一方で、子の加給年金については約4万円ほど増額となり、子に対する保障が手厚くなります。
③ まとめ:配偶者の加給年金は、2028年から減額されるので要注意

③ まとめ:配偶者の加給年金は、2028年から減額されるので要注意
本記事では、「加給年金の改正は、"改悪" or "改善" か」を紹介しました。
ポイントをまとめます。
【加給年金とは】
・「65歳未満の配偶者」or「18歳未満の子ども」がいる場合、通常の年金に上乗せで支給される(家族手当のようなもの)
・加給年金の支給には、厚生年金に20年以上加入していることが条件
【2028年4月から改正される、加給年金の支給額】
・配偶者(65歳未満)がいる場合 : 36万7,200円(-4万8,700円の減額で、"改悪" に)
・子ども(18歳未満)がいる場合 : 28万1,700円(+4万2,400円の増額で、"改善" に)
※子どもは3人目以降も「一律増額」となる改善あり
【2026年以降、年金制度で変わる6つの改正】
改正❶ : 働く高齢者の満額年金(在職老齢年金)を増額【2026年4月】
改正❷ : "年収106万円の壁" を撤廃【2026年10月】
改正❸ : iDeCo加入可能年齢を69歳以下に引き上げ【2027年1月】
改正❹ : 高所得の会社員の保険料(標準報酬月額)を引き上げ【2027年9月】
改正❺ : 遺族厚生年金の男女格差見直しで、無期給付が有期給付に【2028年4月】
改正❻ : 加給年金の支給額の見直し【2028年4月】
あまり知られていない加給年金の存在ですが、支給額を考えるとけっこう大きな存在です。
配偶者に対する加給年金は月額で「約3.5万円」ほど年金に加算されるので、それなりの金額ですよね。
そんな加給年金が、2028年4月から配偶者の場合の支給額が減額され、"改悪" となります。
ただ一方で、子に対する加給年金は増額されるので、こちらは "改善" に。
人によってどう変わるかが違うので、ぜひチェックしてみてください。
2026年以降に変わっていく年金制度の6つの内容も、合わせて確認してくださいね。
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