
・・・給与所得控除って何だっけ??
こんにちは、キベリンブログです。
給与所得控除が引き上げられましたが、対象者が限られていることはあまり知られていません。
今回は、「2025年からの給与所得控除の引き上げと、動いた年収の壁」について紹介します。
【本記事の内容】
① 2025年以降の、給与所得控除の引き上げ対象者とは【住民税・所得税】
② 税金の壁よりも、社会保険料の壁が厳しい理由【6つの年収の壁】
③ まとめ:2025年改正の給与所得控除の引き上げは、年収190万円以下の人だけ
給与所得控除が上がれば、税金は安くなります。
税金のしくみを踏まえつつ、誰に恩恵があるのか語っていきます。
① 2025年以降の、給与所得控除の引き上げ対象者とは【住民税・所得税】

① 2025年以降の、給与所得控除の引き上げ対象者とは【住民税・所得税】
2025年は税制改正があり、住民税・所得税の課税額も変わります。
"給与所得控除" の引き上げにより、以前からの年収の壁は動いています。
そもそも税金のしくみはややこしくて、給与所得控除がどう決まっているのか分からないですよね。
給与所得控除とは何なのかを含めて、具体的にチェックしていきましょう。
給与所得控除とは【会社員やパート・アルバイトの "経費"】
税金は、収入からそのまま計算されるわけではありません。
収入から経費を引いた「所得(収入 - 経費)」から計算されます。
給与所得控除は、会社員やパート・アルバイトなど給料でもらう人の "経費" にあたります。
「仕事でスーツやカバンとか必要だから、給与所得控除の分は収入から差し引いて、税金を計算してあげるよ」といった位置づけですね。
給与所得控除の金額が大きいほど税金が安くなるわけですが、収入額に応じて一律に決められています。
その給与所得控除額が2025年から変更されているので、どう変わったのか深掘りしていきます。
給与所得控除の変更【2024年以前 → 2025年以降】
【2024年以前】
給与収入額(年収) | 給与所得控除額 |
162.5万円以下 | 55万円 |
162.5万円 ~ 180万円 | 収入金額 × 40% - 10万円 |
180万円 ~ 360万円 | 収入金額 × 30% + 8万円 |
360万円 ~ 660万円 | 収入金額 × 20% + 44万円 |
660万円 ~ 850万円 | 収入金額 × 10% + 110万円 |
850万円以上 | 195万円 |
【2025年以降】
給与収入額(年収) | 給与所得控除額 |
190万円以下 | 65万円 |
190万円 ~ 360万円 | 収入金額 × 30% + 8万円 |
360万円 ~ 660万円 | 収入金額 × 20% + 44万円 |
660万円 ~ 850万円 | 収入金額 × 10% + 110万円 |
850万円以上 | 195万円 |
上の2つの表が、変更前後の給与所得控除を示したものです。
給与所得控除は、年収が高いほど控除額も高くなるしくみです。
2025年以降の変更では、最低額の給与所得控除が「55万円 → 65万円」に引き上げられました。
10万円ほど上がったので、年収190万円以下の人は税金が安くなるということですね。
一方で、年収190万円の人には給与所得控除の引き上げはなく、多くの会社員には特に恩恵はありません。
"全員の控除額が10万円引き上げられたわけではない" ので、注意しておきましょう。
2025年の税制改正で、年収の壁はどう変わったか
・年収100万円の壁 → 年収110万円の壁に 【住民税がかかる年収】
・年収103万円の壁 → 年収160万円の壁に 【所得税がかかる年収】
給与所得控除の最低額の引き上げにより、以前からの "年収の壁" は変わりました。
住民税・所得税の年収の壁が、2025年以降はそれぞれ動いています。
住民税の壁は、"年収110万円の壁" に。
住民税においては、給与所得控除の10万円分しか引き上げられませんでした。
所得税の壁は、"年収160万円の壁" に。
「給与所得控除 10万円 + 基礎控除 10万円 + 基礎控除の上乗せ特例 37万円」の合計57万円分が、所得税において引き上げられています。
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② 税金の壁よりも、社会保険料の壁が厳しい理由【6つの年収の壁】

② 税金の壁よりも、社会保険料の壁が厳しい理由【6つの年収の壁】
ここまで、2025年改正の給与所得控除の引き上げについて見てきました。
控除額の引き上げで、税金(住民税・所得税)の年収の壁は変わりました。
パート・アルバイトなどで働いている人は、「年収110万円までなら、手取り減らなくなるの!?」と思ったりしますよね。
複雑に作られた年収の壁は、そう簡単にはいきません。
よく語られる壁には、"6つの年収の壁" があります。
それぞれの壁を整理しつつ、手取りがどう減ってしまうのかチェックしていきましょう。
6つの年収の壁とは【税金と社会保険】
年収の壁 | 内容 |
→ 110万円の壁 【2025年改正】 |
住民税が課税 |
→ 160万円の壁 【2025年改正】 |
所得税が課税 |
106万円の壁【社保】 | 勤務条件により社会保険(厚生年金・健康保険)へ加入 |
130万円の壁【社保】 | 社会保険の加入必須(扶養から外れる) |
→ 160万円の壁 【2025年改正】 |
配偶者特別控除の減額開始(38万円から段階的に減額) |
201万円の壁【税金】 | 配偶者特別控除の対象外 |
年収の壁は、おもに上記の6つがあります。
大きくは "税金" と "社会保険" の2種類で区別されています。
2025年からは「年収100万円の壁 → 年収110万円の壁」、「年収103万円の壁 → 年収160万円の壁」、「年収150万円の壁 → 年収160万円の壁」となり、それぞれ変わりました。
(子を扶養する親の税金を軽くする "特定扶養控除" は、103万円→150万円に引き上げ)
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103万円 → 160万円の壁引き上げも、住民税は置き去り【10%課税】
「160万円までなら、税金はかからないんだよね?」と思うかもしれませんが、かからないのは "所得税だけ" です。
住民税は、年収110万円以上になると課税されます。(住民税は "1年遅れの後払い方式" のため、2026年の支払い分から適用)
実は、年収200万円以下の低所得者には、所得税(税率5%)よりも住民税の方が負担が大きくなります。
なぜなら、住民税は累進課税ではなく、一律で「税率10%」がかかるからですね。
繰り返しですが、年収が160万円以下でも、2025年の年収が110万円以上なら住民税がかかります。
2025年からの103万円の壁 → 160万円の壁引き上げ後も、160万円まで無税になるわけではないので、注意しておきましょう。
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106万円・130万円の社会保険料の壁の方が、大きな障壁【手取り減る】
実は「110万円・160万円」の税金の壁よりも、「106万円・130万円」の社会保険料の壁の方が、ずっと大きな障壁になっています。
なぜなら、年収106万円 or 年収130万円を超えた時点で、"手取りがガクッと減る" からですね。
年収106万円の壁は、特定の勤務条件で働いている場合に、社会保険(健康保険・厚生年金)への加入が必要になります。
年収130万円の壁では、勤務条件にかかわらず社会保険の加入が必須となり、扶養からも外れます。
それまで払う必要のなかった社会保険料がかかるため、給料の「約15%」が引かれます。
年収106万円の場合では、年間の手取り額は "約16万円" も減ることになるので、103万円の壁が160万円に引き上げられていても働きすぎには要注意です。
【労働時間が調整できるアルバイト(短期・単発)を探しやすいサイト 3選】
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③ まとめ:2025年改正の給与所得控除の引き上げは、年収190万円以下の人だけ

③ まとめ:2025年改正の給与所得控除の引き上げは、年収190万円以下の人だけ
本記事では、「2025年からの給与所得控除の引き上げと、動いた年収の壁」を紹介しました。
ポイントをまとめます。
【給与所得控除の変更(2025年以降)】
給与収入額(年収) | 給与所得控除額 |
190万円以下 | 65万円 |
190万円 ~ 360万円 | 収入金額 × 30% + 8万円 |
360万円 ~ 660万円 | 収入金額 × 20% + 44万円 |
660万円 ~ 850万円 | 収入金額 × 10% + 110万円 |
850万円以上 | 195万円 |
※変更点は赤字部分
【2025年の税制改正で、年収の壁はどう変わったか】
・年収100万円の壁 → 年収110万円の壁に 【住民税がかかる年収】
・年収103万円の壁 → 年収160万円の壁に 【所得税がかかる年収】
給与所得控除とは、会社員やパート・アルバイトの人にとっての "経費" にあたるものです。
税金を計算するときに収入から差し引ける(控除)ので、給与所得控除が引き上げになると税金が安くなります。
2025年の改正で給与所得控除の引き上げがあったものの、上がったのは「最低額の10万円分(55万円 → 65万円)」だけです。
引き上げ対象となるのは "年収190万円以下の人だけ" で、一般的な会社員の人には特に恩恵はありません。
パート・アルバイトで働く人にとっては、気になる "年収の壁" も以前と変わっています。
税金よりも社会保険料の壁の方が負担が大きいので、年収の壁の違いには注意してくださいね。
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